港湾地域周辺に自生する遺伝子組換えナタネの調査結果(2007)

>07/12/20更新

この調査について

  • 2007年3月から6月にかけて、農民連食品分析センターおよび一般の参加者に呼びかけを行い、グリホサート(R)耐性ナタネおよびグルホシネート(R)耐性ナタネの自生調査を行いました。
  • 調査地域は茨城県、千葉県、埼玉県、神奈川県、静岡県、愛知県、三重県、兵庫県、岡山県、広島県、鹿児島県の11県、うち港湾地域は10港となりました。農民連食品分析センター遺伝子組換えナタネ調査隊が行った地点は、千葉県中央港周辺、神奈川県横浜港(磯子)周辺、静岡県清水港周辺、愛知県名古屋港(名港潮見、北浜町)、三重県四日市港(四日市港および国道23号線)、岡山県(水島港、宇野港)、鹿児島県(鹿児島港および姶良)でした。茨城県、埼玉県、神奈川県(平塚)、三重県内各地点、広島県については、一般調査隊員の方による調査になっています。
  • 総検体数は、196検体(一般調査隊18検体、農民連食品分析センター178検体)でした。検出された遺伝子組換えナタネは87検体、このうち59検体がグリホサート耐性(RR)で、28検体がグルホシネート耐性(LL)となりました。
  • 判定は、イムノクロマト法による簡易試験後、PCR法による確認試験を行い、結果としました。調査はビデオによる記録を行い、インターネット上から視聴できるようにしました。
  • また、調査の結果は、市民グループや各地生協の調査グループととりまとめを行い、日本全体での生息状況調査を把握できるようにしました。
  • 今回、以前から環境省:J-BCH(バイオセイフティクリアリングハウス)や各地の市民団体で報告されていた2種間交雑についても検出がありました。PCR法で両方の遺伝子を持つ個体が1個体見つかっています。イムノクロマト法ではグリホサート耐性確認試験紙に陽性を示しますが、グルホシネート耐性確認試験紙は陰性の反応をする個体です。遺伝子としては双方の配列を持っていても、グリホサート耐性を形成する配列しか発現していないのかもしれません。
    「また、四日市港周辺の道路沿いの1地点においてグリホサート及びグルホシネートに耐性の種子が確認され、2種類の遺伝子組換えナタネの間で交雑が起きている可能性が考えられます。」(環境省:J-BCH(バイオセイフティクリアリングハウス)

遺伝子組換えナタネについて

  • 遺伝子組換えナタネにはいくつかのタイプがあります。その多くは除草剤に耐性を持つナタネで、除草剤を散布しても枯れにくよう耐性遺伝子を組み込んであります。このほかにラウリル酸生産向上タイプなどがあります。
    • Monsanto社の販売する除草剤Roundup Ready(R)(成分名:Glyphosate/グリホサート)に耐性を持つRoundup Ready(R) Canolaタイプ
    • Bayer社の販売する除草剤バスタ(R)(成分名:Glufosinate/グルホシネート)耐性をもつLiberty Link(TM) Independenceタイプの数種
    • Bayer社の販売する除草剤Buctril(R)(成分名:Bromoxinil/ブロモキシニル)に耐性を持つWester-Oxy-235タイプ

  • 除草剤耐性ナタネには、種子形成のコントロールや収量を改良する目的で、花粉を作らせない(自家受粉で種ができない)「雄性不稔遺伝子」を組み込まれているタイプ、雄性不稔遺伝子を持つ固体をふたたび稔性回復させる「稔性回復遺伝子」を組み込まれているタイプ、「雄性不稔遺伝子」および「稔性回復遺伝子」を両方持つタイプがあります。
  • 現在、日本で食品衛生法に基づく食品としての安全性に関する審査が終了している品種は以下の15品種です。(2005年5月現在:参考URL農林水産省遺伝子組換え植物の安全性確認状況)
    • RT73(GT73), グリホサート耐性分解
    • HCN92, グルホシネート耐性
    • HCN10, グルホシネート耐性
    • PGS1, グルホシネート耐性, 雄性不稔, 稔性回復
    • PHY14, グルホシネート耐性, 雄性不稔, 稔性回復
    • PHY35, グルホシネート耐性, 雄性不稔, 稔性回復
    • T45, グルホシネート耐性
    • PGS2, グルホシネート耐性, 雄性不稔, 稔性回復
    • PHY36, グルホシネート耐性, 雄性不稔, 稔性回復
    • PHY23, グルホシネート耐性, 雄性不稔, 稔性回復
    • Westar-Oxy-235, ブロモキシニル耐性
    • MS8xRF3, グルホシネート耐性, 雄性不稔, 稔性回復
    • MS8, グルホシネート耐性, 雄性不稔
    • RF3, グルホシネート耐性, 稔性回復
    • RT200(GT200), グリホサート耐性分解

遺伝子組換えナタネの調査および分析法について

  • 遺伝子組換えナタネ調査隊による調査は、007年3月3日から6月2日までの期間、千葉県中央港(2007.03.3)、静岡県清水港(2007.03.31)、神奈川県横浜港(磯子地区07.04.18)、愛知県名古屋港(2007.05.01)、福岡県博多港(2007.05.02)、鹿児島県鹿児島港および県内(2007.05.03)岡山県水島港および宇野港(2007.5.5)、兵庫県神戸港(2007.5.5)、三重県四日市港および国道23号線(2007.6.2)でおこなわれました。道路脇などに生えているナタネや西洋カラシナなどBrassica属と判断できる植物をサンプリングしました。昨年の調査地点に福岡県、岡山県、鹿児島県を加えた調査となっています。
  • 一般調査隊員による調査は、各地から5件の申込があり、茨城県、埼玉県、神奈川県(平塚)、三重県内、広島県で18個体について調査が行われました。
  • 採取地点の地図は以下の通りです。
  • 試験対象とした検体数は合計196検体になります。
  • 遺伝子組換えの検査は、イムノクロマトキットとPCR法を使用しました。「イムノクロマト法」で陽性の結果となったものについて、PCR法による確認試験を行い、両結果が、陽性となったもののみを「遺伝子組換え」と判定しました。イムノクロマトキット(ラテラルフロー法)は「NEOGEN社製アグロスクリーン(R)CP4ストリップテスト大豆コーン用」によるグリホサート耐性発現タンパクCP4EPSPSとSDI製TraitコーンバルクテストLLによるグリホシネート耐性発現タンパクBar(Pat)についておこないました。
  • PCR法ではグリホサート耐性タンパク発現遺伝子CP4EPSPS、ブロモキシニル耐性タンパク発現遺伝子Oxy、グルホシネート耐性タンパク発現遺伝子bar、およびそれぞれのSpecific遺伝子の増幅の有無を確認しました。
  • イムノクロマトキットによる検査方法は別ページ記載の方法に準拠しておこないました。
  • PCR法による検査方法はJAS遺伝子組換え食品検査マニュアルに準拠するよう設計しておこないました。
  • 調査はビデオによる撮影を行い、その調査および地点の概要について、確認できるように作成しました。ビデオはこちらのページから見ることができます。


    遺伝子組換えナタネ調査隊2007:ビデオポッドキャスト
    http://earlybirds.ddo.jp/natane/category.php?k=VideoPodCast

分析結果

  • 試験サンプル196検体のうち87検体にて組換え遺伝子が検出されました。
  • グリホサート耐性遺伝子(CP4EPSPS)を持つタイプが59検体、グルホシネート耐性遺伝子(bar/pat)を持つタイプが28検体、オキシニル耐性を持つタイプの試験はまだ終了していません。
    港湾名
    ID
    サンプル名
    結果
    メモ
    千葉県中央港 1 01千葉郵便局前1 検出せず
    2 02スバル前 検出せず
    3 03マルハン前中央分離帯1 グリホサート耐性
    4 04マルハン前中央分離帯2 検出せず
    5 05マルハン前中央分離帯3 グリホサート耐性
    6 06マルハン前中央分離帯4 検出せず
    7 07マルハン前中央分離帯5 検出せず
    8 08マルハン歩道 検出せず
    9 09JAF1 グルホシネート耐性
    10 10JAF2 グルホシネート耐性
    11 11郵便局前2 グルホシネート耐性
    12 12郵便局前3 グリホサート耐性
    13 13郵便局前4 グルホシネート耐性
    14 14郵便局前5 グルホシネート耐性
    15 15郵便局前6 グルホシネート耐性
    16 16郵便局前7 グリホサート耐性
    17 17郵便局前8 グリホサート耐性
    18 18郵便局間9 グリホサート耐性
    19 19ハタ1 検出せず
    20 20ハタ2 検出せず
    21 21ハタ3 検出せず
    22 22ハタ4 検出せず
    23 23ハタ5 検出せず
    24 24ハタ6 検出せず
    25 25ハタ7 検出せず
    静岡県清水港
    26 01清開1(富士製糖跡) グリホサート耐性
    27 02清開2(清開町三丁目) グルホシネート耐性
    28 03テルサ前 グリホサート耐性
    29 04富士ロジサイロ前 検出せず
    30 05南部浄化センター1 検出せず
    31 06南部浄化センター2 検出せず
    32 07南部浄化センター3 検出せず
    33 08南部浄化センター4 検出せず
    34 09南部浄化センター5 検出せず
    35 10南部浄化センター6 検出せず
    神奈川県横浜港 36 01杉田第一料金所付近1 検出せず
    37 02杉田第一料金所付近2 検出せず
    38 03杉田第一料金所付近3 グリホサート耐性
    39 04杉田第一料金所付近4 グリホサート耐性
    40 05杉田第一料金所付近5 検出せず
    41 06杉田第一料金所付近6 検出せず
    42 07杉田第一料金所付近7 検出せず
    43 08杉田第一料金所付近8 検出せず
    44 09杉田第一料金所付近9 グリホサート耐性
    45 10杉田第一料金所付近10 検出せず
    46 11杉田第一料金所付近11 グルホシネート耐性
    47 12磯子料金所下1 検出せず
    48 13磯子料金所下2 グルホシネート耐性
    49 14磯子料金所下3 検出せず
    50 15南横浜火力発電所前そば屋 グリホサート耐性
    51 16三渓園手前1 検出せず
    52 17三渓園手前2 検出せず
    53 18三渓園手前3 検出せず
    54 19三渓園手前4 検出せず
    55 20三渓園手前5 検出せず
    56 21三渓園手前6 グルホシネート耐性
    57 22三渓園手前7 グルホシネート耐性
    58 23三渓園手前8 検出せず
    59 24三渓園手前9 検出せず
    愛知県名古屋港 60 01国道23号富島交差点先1 検出せず
    61 02国道23号稲荷西交差点 検出せず
    62 03国道23号築地口IC 検出せず
    63 04国道23号中川跨線橋 検出せず
    64 05県道59号丸ノ内北交差点 検出せず
    65 06船見町交差点1 検出せず
    66 07船見町交差点2 検出せず
    67 08火力発電所前 検出せず
    68 09エッソ前交差点1 検出せず
    69 10エッソ前交差点2 検出せず
    70 11エッソ前交差点3 検出せず
    71 12エッソ前交差点4 検出せず
    72 13日清オイリオ前 グルホシネート耐性
    73 14北浜町入り口1 グリホサート耐性
    74 15北浜町入り口2 検出せず
    福岡県博多港 75 01日通福岡海運前1 グリホサート耐性
    76 02日通福岡海運前2 グリホサート耐性
    77 03日通福岡海運前3 グリホサート耐性
    78 04日通福岡海運通り向かい1 両方を検出
    79 05日通福岡海運通り向かい2 グルホシネート耐性
    80 06日通福岡海運通り向かい3 グリホサート耐性
    81 07日通福岡海運通り向かい4 グリホサート耐性
    82 08日通福岡海運通り向かい5 グリホサート耐性
    83 09日通福岡海運通り向かい6 グリホサート耐性
    84 10トウモロコシ散乱地帯 グリホサート耐性
    85 11上組前交差点1 グルホシネート耐性
    86 12上組前交差点2 グリホサート耐性
    87 13上組前交差点3 検出せず
    88 14上組前交差点4 グリホサート耐性
    89 15上組前交差点5 グリホサート耐性
    90 16上組前交差点6 グルホシネート耐性
    91 17上組前交差点7 検出せず
    92 18上組前交差点8 グルホシネート耐性
    93 19九州郵船整備場前1 グルホシネート耐性
    94 20九州郵船整備場前2 検出せず
    95 21九州郵船整備場前3 グルホシネート耐性
    96 22アンローダー近く 検出せず
    97 23アイランドシティにかかる橋1 検出せず
    98 24アイランドシティにかかる橋2 グルホシネート耐性
    99 25アイランドシティコンテナターミナル入口 検出せず
    100 26香椎アイランドブリッジ 検出せず
    101 27汐井公園入り口1 グリホサート耐性
    102 28汐井公園入り口2 検出せず
    103 29瀬井浜橋1 グルホシネート耐性
    104 30瀬井浜橋2 グルホシネート耐性
    105 31国道3号太宰府IC手前 グリホサート耐性
    鹿児島港周辺 106 01鹿児島姶良町1 検出せず
    107 02鹿児島姶良町2 検出せず
    108 03鹿児島姶良町3 検出せず
    109 04鹿児島姶良町4 検出せず
    110 05鹿児島姶良町5 検出せず
    111 06鹿児島姶良町6 検出せず
    112 07鹿児島姶良町7 検出せず
    113 08鹿児島姶良町8 検出せず
    114 09鹿児島姶良町9 検出せず
    115 10加治木駅前 検出せず
    岡山県水島港 116 01オイリオ水島工場前1 検出せず
    117 02オイリオ水島工場前2 検出せず
    岡山県宇野港 118 01日の出中継ポンプ場前 グリホサート耐性
    119 02ファッションセンターしまむら前 グルホシネート耐性
    120 03加藤製油前 グルホシネート耐性
    121 04宇野港堤防1 グリホサート耐性
    122 05宇野港堤防2 検出せず
    123 06宇野駅前中央分離帯 グリホサート耐性
    124 07広潟踏切前 検出せず
    125 08深山公園前 グリホサート耐性
    兵庫県神戸港 126 01小野浜町三井倉庫前 検出せず
    127 02小野浜町三井倉庫アンローダー下1 検出せず
    128 03小野浜町三井倉庫アンローダー下2 検出せず
    129 04小野浜町三井倉庫アンローダー下3 検出せず
    130 05小野浜町三井倉庫アンローダー下4 検出せず
    131 06小野浜町三井倉庫アンローダー下5 検出せず
    132 07摩耶埠頭入り口1 検出せず
    133 08摩耶埠頭入り口2 検出せず
    134 09日本製粉前1 検出せず
    135 10日本製粉前2 グリホサート耐性
    136 11日本製粉前3 検出せず
    137 12日本製粉前4 検出せず
    138 13ACR前 検出せず
    139 14芦屋市総合公園上橋1 検出せず
    140 15芦屋市総合公園上橋2 検出せず
    三重県四日市港 141 01 国道23号昭和炭酸工場前 検出せず
    および国道23号線 142 02 西末広町交差点1 グリホサート耐性
    143 03 西末広町交差点2 グリホサート耐性
    144 04 西末広町交差点3 グリホサート耐性
    145 05 西末広町交差点4 グリホサート耐性
    146 06 西末広町交差点5 グリホサート耐性
    147 07 三井倉庫前 グリホサート耐性
    148 08 アンローダー下1 検出せず
    149 09 アンローダー下2 グリホサート耐性
    150 10 アンローダー下3 グリホサート耐性
    151 11 アンローダー下4 グリホサート耐性
    152 12 昌栄橋 検出せず
    153 13 23号陸橋下海山道交差点1 グリホサート耐性
    154 14 23号陸橋下海山道交差点2 検出せず
    155 15 23号海山道交差点 検出せず
    156 16 塩浜大橋先1 グリホサート耐性
    157 17 塩浜大橋先2 グルホシネート耐性
    158 18 塩浜大橋先3 グリホサート耐性
    159 19 鈴鹿市一ノ宮1 検出せず
    160 20 鈴鹿市一ノ宮2 検出せず
    161 21 鈴鹿市一ノ宮3 検出せず
    162 22 23号線麦畑脇1 グルホシネート耐性
    163 23 23号線麦畑脇2 グリホサート耐性
    164 24 23号線麦畑脇3 グリホサート耐性
    165 25 玉垣町歩道橋1 グルホシネート耐性
    166 26 玉垣町歩道橋2 グルホシネート耐性
    167 27 磯山3丁目交差点 グルホシネート耐性
    168 28 大学病院前交差点 グリホサート耐性
    169 29 高茶屋小森北交差点 グリホサート耐性
    170 30 小野江町歩道橋手前 グリホサート耐性
    171 31 大和自工脇 グリホサート耐性
    172 32 クロネコヤマト前1 検出せず
    173 33 クロネコヤマト前2 検出せず
    174 34 辻製油前通り グリホサート耐性
    175 35 株式会社イセオリ前1 検出せず
    176 36 株式会社イセオリ前2 グリホサート耐性
    177 37 株式会社イセオリ前3 グリホサート耐性
    178 38 辻製油裏田んぼ脇 グリホサート耐性

表1 採取地点ごとの結果と遺伝子組換えのタイプ

図1 調査地点と採取、検出数


(クリックで拡大)

採取地点ごとの遺伝子組換え検出数
地点名 採取数 グリホサート耐性(RR) グルホシネート耐性(LL) オキシニル耐性(OXY) 検出率(%)
茨城県県内
3
0
-
-
0
千葉県中央港
25
6
6
-
48
埼玉県内
1
0
-
-
0
神奈川県横浜港
24
4
4
-
33
神奈川県平塚市
1
0
-
-
0
静岡県清水港
10
2
1
-
30
愛知県名古屋港
15
1
1
-
13
三重県四日市港
38
22
5
-
71
三重県県内
12
5
-
-
42
兵庫県神戸港
15
1
0
-
6
岡山県宇野港
8
4
2
-
75
岡山県水島港
2
0
0
-
0
広島県県内
1
0
-
-
0
福岡県博多港
31
14
9
-
74
鹿児島県県内
10
0
0
-
0
合計
196
59
28
0
44

表2 採取地点ごとの遺伝子組換え検出数

地点名 地図 ビデオ
千葉県中央港
神奈川県横浜港
静岡県清水港
愛知県名古屋港
三重県四日市港
兵庫県神戸港
岡山県宇野港
岡山県水島港
福岡県博多港
鹿児島県鹿児島港周辺および姶良

表3 採取地点と検出地点

まとめと考察

  • 千葉県中央港
     一昨年、遺伝子組換えナタネの検出があった地点を中心に、25検体を採取、12検体から組み換え体が見つかりました。中央分離帯や路肩の砂など、発見される地点にきまった傾向があるように思います。

  • 神奈川県横浜港
     昨年、一般参加者さんによる調査で、磯子区横浜動物検疫所付近から遺伝子組換えが検出されていました。今回はその周辺、国道357号線沿いを調査しました。国道沿いには搾油会社さんがあります。4地点で24検体を採取、8検体が遺伝子組換えでした。搾油会社さんから北に5キロ離れた「三溪園」付近でも検出されました。

  • 静岡県清水港
     生活クラブ生協さんとの共同調査を行いました。抜き取りなどの対策を行っていることから、ナタネはあまり見つかりませんでした。合計10検体を採取し、4検体から組み換え体が見つかりました。少ないながらも遺伝子組換えナタネが見つかったことに驚きました。搾油会社さんや飼料工場さんの周辺での検出がほとんどでした。


  • 愛知県名古屋港
     国道23号線や搾油会社さん飼料会社さんを中心に調査を行いました。いままで名港潮見埠頭を調査してきましたが、今回は北浜町(潮見埠頭の南東)にある飼料会社さん周辺も調査しました。合計15検体を採取し、2検体から組み換え体を検出しました。1検体は潮見埠頭の搾油会社さん前で、もう1検体は北浜町の工場地帯に入る高架橋で採取したものでした。北浜町での検出ははじめてて、この地点に自生が起きている理由はよくわかっていません。(北浜町には飼料工場がありますがナタネをあつかっているかはわからない)

  • 岡山県宇野港
     搾油会社さんを中心に調査を行いました。搾油会社さん周辺と道路などから合計8検体を採取し、6検体から遺伝子組換え体を検出しました。この地点は遺伝子組換えナタネの検出を確認したことが無かったため、初めての検出となりました。また工場からおよそ5kmほど離れたところ地点からも組み換え体が検出され、より広範囲での調査が必要と考えられました。

  • 福岡県博多港
     グリーンコープ連合さんの調査で、遺伝子組換えナタネの汚染状況が強いと報告されていた博多港箱崎埠頭の調査を行いました。岸壁付近、搾油会社さん周辺、それらを運搬する会社さん周辺、連結する国道、産業道路などを調査しました。合計31検体を採取し、23検体から組み換え体が検出されました。また、箱崎埠頭から8kmほど離れた地点の「太宰府インターチェンジ」でも遺伝子組換えナタネが検出され、離れた地域での自生も起きていることがわかりました。
     マンホールの隙間などから大量にナタネが発芽していたりと、いままで調査を行ってきた地域とは桁違いの状況でした。最も対策が必要であるといえる地域です。
     また簡易分析でグリホサート耐性に陽性であった個体が、PCR法ではグリホサート耐性発現遺伝子、グルホシネート耐性発現遺伝子の両方が陽性となる個体が見つかりました。異なる品種間での交配の結果、出来上がった個体であると考えられます。グリホサート耐性遺伝子、グルホシネート耐性遺伝子、稔性回復、雄性不稔、プロモーターのタイプなど本来異なる個体で確認されるはずの配列が、この個体からは検出されています。福岡県博多港の調査ビデオ1分47秒に記録されている個体です。


  • 鹿児島県県内
     鹿児島港周辺から調査に入りましたが、セイヨウアブラナをほとんど見つけることができず、姶良周辺地域で10検体を採取しました。遺伝子組換え体は検出されませんでした。


  • これまでの調査と同様、陸揚げのある港を中心とした地域では、遺伝子組換えナタネの自生が続いていることがわかりました。また、これまで調査していなかった地点でも検出があったり、より輸送路から離れた畑地や水田などでの自生も見つかりました。特に三重県の国道23号線沿いでは、農耕地への侵入が確認されたことにより今後の展開が心配されます。また、今回の調査でもっとも汚染がひどいと考えられたのは福岡港でした。福岡港でのこぼれ落ちと自生の状況はこれまでの調査で体験してきたどれよりも数が多く、広い地域に渡っていると感じました。多くの地域は輸入港と線で結ぶような自生が見られますが、福岡港だけは「面」のような広がりになっているように思えます。
  • 今後さらに広がる可能性があるかなど、継続的な調査をしかるべき機関や会社がおこなっていき、十分な情報公開をしていく必要があると考えられます。より広い範囲での調査をおこなっていく必要性があります。また、行政や関係機関、会社などから、積極的な対策や対応、今後の方向性などが明確に示されなければいけない段階にきているといえます。法的には、「隔離ほ場試験の安全性が確認された段階で、栽培目的での栽培の安全性に関する確認がされていない遺伝子組換えナタネ(栽培目的の確認が終了しているのはRT73とRT200、他は隔離ほ場での試験栽培までしか終了していない)」が自生しているという、矛盾にはいまだ手がつけられていないことになります。

分析終了日2007年10月5日

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