はじめに

　流通量が増加している輸入冷凍野菜について残留農薬調査をおこないました。多くの製品から検出が認められています。生鮮品に照らし合わせると違反に相当するものも見つかっています。(2000年12月)

• 2000年12月に、都内のスーパー、小売店から購入したものについて、GC法による残留農薬一斉分席を実施しました。
  

結果

以下に示すように、複数の検体から残留農薬が検出されました。

• 日本では現在使用されていないBHCやDDTなどの検出があります。
• 一番下ニチレイほうれん草から検出されたクロルピリホスは厚生労働省の定める残留基準値（0.01ppm）と照らし合わせた場合は、 基準値を3.4倍オーバーした結果となり、生鮮ほうれん草として扱うと考えると、本来は輸入できないものです。

補足

• 私たちは、市販される中国産冷凍ほうれん草製品から残留農薬が基準値相当を上回って検出されることを確認し、厚生労働省に数回にわたって、データ提供を行っていましたが、厚生労働省では食品衛生法の解釈上、こうした製品に規制を行わずにいました）冷凍ほうれん草などの食品は加工食品に分類されるため、当時の食品衛生法では、当てはめる基準値がない）。
• 私たちの活動をきっかけに、冷凍野菜だけでなく、中国産野菜の残留農薬検査が進み、その危険な実態が明らかにされていきました。やがて、輸入食品の残留農薬の問題へと話題は広がり、今では一般的によく使われる「食の安全安心」というキーワードが生まれるようになりました。
• また、私たちの指摘がきっかけになり、加工食品なら抜け道になる、基準値の存在しない農薬があるなど、食品衛生法の穴の問題に対して、大きな改正が行われるようになりました。従来までのネガティブリスト制度から、180度の方向転換にあたる、ポジティブリスト制度への変わっていくことになりました。
• 食品衛生法は、基本的には食糧供給の根幹は、国内での生産に基づくものとして組み上げられてきたものといえます。現在のような、封を切ったらそのまますぐ食べられるようなレベルの食品がこれほど大量に輸入され、消費されるところを想定できてはいなかったといえます。私たちの食糧共有に対する考え方や経済性ばかり重視する流通の仕組みについても、学ぶ必要がある事件であったと私たちは考えています。
• この中国産冷凍ほうれん草からの残留農薬検出を受け、私たちは、輸入冷凍野菜について調査を深めて行きます。

関連データ

• 生薬・漢方薬中の残留農薬分析結果4（2003）
• 輸入材料を使用した冷凍食品(野菜) および輸入野菜の残留農薬分析結果（2002）
• 外食店などのほうれん草調理品からの残留農薬分析結果（2002）
• 市販の冷凍枝豆・生鮮枝豆および居酒屋・ファミレス・コンビニ・スーパーの枝豆調理品残留農薬分析結果（2002）
• 冷凍食品（野菜）の残留農薬分析1（2000）
  
  

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農民連食品分析センター
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