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2021.9.10公開

[申し込み終了しました]募集について

尿から検出されるネオニコの例 一般社団法人農民連食品分析センターでは、尿に含まれるネオニコチノイド系農薬を検出する試験法の開発を進めてきました。間もなく一般の方を対象にした検査の受け入れができるステージに到達しますが、尿は、体質や採尿タイミングによって成分などが異なることから、試験開発の最終ステップとして、実際に多数のサンプルを対象に試験系のチェック、試験オペレーションフローの整理などをおこない、試験システムの整備や経験値の積み上げをしたいと考えています。以下の要項と了承事項に了承の上、プレテスターとして尿を提供して下さる方を必要としています。どうぞよろしくお願いいたします。

 なお、応募が多数であった場合は、申し訳ありませんが、「現在、分析サポーター会員に登録されている方」または「新規に登録をされた方」を優先させて頂きます*(分析サポーター会員について)。
*理由は、私たちの試験施設の分析装置や調査・開発には、サポーター会員さんの会費が活用されているためです。

募集要項

[申し込みは終了しました]お申し込み

 以下のリンクから、お申し込みページにお進みください。


[なぜなに?]この検査とネオニコチノイド系農薬のこと

■検査の対象成分にはなに?

測定雰囲気 日本農薬工業会の作用機構分類にあるネオニコチノイド系農薬7成分と、近年、ネオニコチノイド系農薬に類似した用途や特徴をもつとされる農薬7成分を対象としています。内訳は以下の通りです。(詳細をクリックで続きを表示)

ネオニコチノイド系殺虫剤7剤 ジアミド系殺虫剤1剤
アセタミプリド クロラントラニリプロール
クロチアニジン フェニルピラゾール系殺虫剤2剤
ジノテフラン エチプロール
イミダクロプリド フィプロニル
ニテンピラム フロニカミド系殺虫剤1剤
チアクロプリド フロニカミド
チアメトキサム ブテノライド系殺虫剤1剤
スルホキシイミン系殺虫剤(ネオニコ類似)1剤 フルピラジフロン
スルホキサフロル
メソイオン系殺虫剤(ネオニコ類似)1剤
トリフルメゾピリム

■どういう検査法なの

測定雰囲気 採取された尿を分析試料として、試験に不要な成分をミニカラムなどを用いて精製処理をおこなった後、高速液体クロマトグラフタンデム質量分析計を用いた試験法で農薬成分の検出をします。定性性と定量性を向上するため放射性同位体標識付標準品を使用した試験法となっています。(詳細をクリックで続きを表示)

  • 測定装置:島津製作所 超高速トリプル四重極型質量分析計LCMS-8050システム
  • 分離カラム:Kinetex Biphenyl(100 x 2.1mm, 2.6μm)
  • 測定モード:ESI / MRM法による
  • 定性定量:放射性同位体標識付標準品を用いた標準添加法・内部標準法
  • 定量下限:各成分 0.1 ppb
  • データ処理:LCMS SolutionおよびInsight による解析

■尿からネオニコチノイド系農薬が検出される例について

尿から検出されるネオニコの例 試験法開発のため、事前におこなった分析センタースタッフとその家族の尿7検体について試験した結果を紹介します(参考資料)。スタッフ全員からネオニコチノイド系農薬が検出されていることがわかります。これは食事や生活環境に由来する農薬が検出されたと考えられます。食べる農産物の栽培方法には、ある程度、選択やこだわりを持つスタッフもいますが、それでも検出されるようです。(詳細をクリックで続きを表示)

 国内外の研究報告などを見ても、ネオニコチノイド系農薬が尿から検出される頻度は、かなり高い状況にあるようです。特に、今回のデータでは、ネオニコチノイド系農薬のジノテフランの検出頻度が高いことがわかります。このデータ以外の検査でも、ジノテフランは多くの方の尿から検出されることがわかっています。ジノテフランは、私たちの調査や東京都健康安全研究センターの年報からも推測されるように、食品からの検出頻度が高い農薬です。日本の農産物生産に使用されるジノテフランを主成分にする農薬製品は、かなり多く、また登録作物が豊富であることから、使用しやすい位置づけにあることが背景と考えられます。

 スタッフHとスタッフH妻は検出される農薬の傾向が類似しています。共通する食べものを摂取していることが、尿に検出される農薬の種類に関係していると考えられます。

 尿から農薬が検出されることと、健康影響の関係については、近年様々な論文が発表はされていますが、まだ因果関係がよくわかっていない段階と考えられます。体内に入っても低用量であったり、速やかに排出されるなどであれば、影響は大きくないとされています。このようにネオニコチノイド系農薬は、旧来の農薬に比べ低毒性であるとして定評がある位置づけにありますが、一方で、血液脳関門や胎盤などを容易に通過することが報告されており、より詳細な研究が求められている一面があります。

■ネオニコチノイド系農薬ってどんな農薬?

一般検査のからの検査受け入れ ネオニコチノイド系農薬は、浸透移行性で、低濃度でも昆虫には高い殺虫能力をもっています。植物に吸収され、長く効果が得られることから広く普及しています。直接散布する方法だけでなく、粒剤として農作物の土壌に施用し、それを農作物が吸収することで、植物体全体に行き渡らせ、長く、効果的な殺虫性能を発揮させるような使用方法などもあります。(詳細をクリックで続きを表示)

 この特徴は、高齢化とともに、効率性や経済性を強く追い続けなければいけない現在の農業では、欠かせない有効な農薬として評価されていますが、一方で、農作物に浸透し(調査データ1)、残効性が長い特徴は、関心のある消費者にとっては食品への残留と摂取に繋がっているとして、関心が集まっています。実際、私たちの施設で市場調査をおこなうと、濃度は基準値に比べ、かなり低いものの、検出率は高い傾向あり、さまざまな食品を通して摂取していることがわかります(調査データ2/調査データ3)。(詳細をクリックで続きを表示)

 ネオニコチノイド系農薬は、ハチなど、生態系へ影響を与えている可能性が高いという調査結果に基づき、EU諸国では、使用禁止となったことがよく知られています。ほかにも海外には、規制への議論を進めている国があります(有機農業ニュースクリップ:ネオニコの各国規制情報)。日本では、再評価対象の農薬としてリストされたり、農林水産省が将来の食糧政策のビジョンをまとめた「みどりの食料システム戦略」にも削減を目指す農薬として上げられたりはしていますが、今のところ、大幅な規制を進める具体的な状況には、まだありません。

 ネオニコチノイド系農薬は、生態系への影響が中心に議論と規制の動きが進められてきましたが、最近では、人体への影響の可能性を指摘する報告や論文も見受けられるようになりました(報告1/論文2/論文3/論文4/論文5)。例えば、新生児の尿に検出されるネオニコチノイド系農薬の量と出産時の体格には相関があるのではないかかを指摘するものもあります(論文6)。

 ネオニコチノイド系農薬が、人体に与える影響についてはまだはっきりとしていないところがあるようですが、少なくとも、私たちが日常生活でどの程度暴露しているかを探る調査には、その影響の有無を考察をしていく上で大きな意義があると言えます。

■体内に入ったネオニコチノイド系農薬はでていくの?

NPO福島有機農業ネットワークグラフ これまでに報告されている研究や調査によれば、農薬を含まない食事に切り替えることで、尿中に検出されるネオニコチノイド系農薬などは減っていくようです。2018年に特定NPO福島県有機農業ネットワークさんらが北海道大学と連携をしておこなった調査がよく知られています。(詳細をクリックで続きを表示)

 この調査では、慣行食材から有機食材に切り替えると、5日間で尿中の検出されるネオニコチノイド系農薬が、54%減ったことが示されています(一社アクト・ビヨンド・トラスト:2018研究助成報告:特定NPO福島有機農業ネットワーク最終報告)。

 また環境保護団体グリーンピースさんらが2016 年におこなった調査では、ネオニコチノイド系農薬については、もともとの濃度が低かったため、減少を示すデータにはなっていませんが、有機リン系農薬や除草剤グリホサート、ピレスロイド系農薬は、1週間で減っていったことが報告されています。

■プレテスターではなく、一般的な検査受付は、いつからですか?

一般検査のからの検査受け入れ 9月15日以降、一般からの検査受付を開始する予定です。基本的に検査の受付は、デトックス・プロジェクト・ジャパンさんが窓口となります。受付ページが開設されるまでお待ちください。

 デトックス・プロジェクト・ジャパンさんを通さない形での検査を希望される場合は、農民連食品分析センターに直接お問い合わせください(電話03-5926-5131/power8@nouminren.ne.jp)。

農民連食品分析センターについて

分析サポーター会員登録 農民連食品分析センターは、1996年に多くの農業者や消費者の募金により設立された背景を持つ世界的にも珍しい分析施設です。募金による設立のため、企業や行政などの影響を受けることなく、独立した立場で活動を行っています。

 1996年の設立以来、私たちの調査活動は、募金で運営されています。正直なところ、私たちの活動に必要な財政は厳しいところにあります。消費者や農民の立場に立った活動を続けていくためにも、みなさんからの支援が欠かせません。

 分析センターを支援していただく会員「分析サポーター会員」の募集をしています。年会費一口5,000円以上で、サポーター会員になることが出来ます。私たちの活動を支えてください。よろしくお願い致します。

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