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はじめに

赤ワインとグラス

 国税庁の発表によれば、日本人は年一人あたり約3リットルのワインを消費している計算になるそうです。ワインは、醸造地域や背景、そのストーリーなども楽しめることもあり、世界中から様々な産地のものが輸入されています。2016年度の貿易統計には、日本は55もの国からワインを輸入しているという記録があります。内訳を見ると、メジャーな国々はもちろん、ワイン生産をしているとは知らなかったような国まであり、愛好家の楽しみ方が、うかがえるものです。今回、そんなワインについて、主に赤ワインのグリホサート残留調査を実施しました。

 余談ですが、ここで報告するグリホサート残留調査は、そもそもは、オニコチノイド系農薬の世界での使用状況を探るために実施した調査の補足試験としておこなわれたものです。ネオニコチノイド系農薬は、千葉工業大学やスイスのヌーシャテル大学等の研究は、世界各地のハチミツから検出されることが報告されています。後者のレポートでは、検査した蜂蜜試料の75%から検出が認められたとあります。この結果は、多くの国々で、ネオニコチノイド系農薬が普及している実態を示すものです。この報告を受け、私たちも世界におけるネオニコチノイド系農薬の使用状況を調査しようと考えました。世界中から日本に届き、身の回りにあって入手しやすい食品はないか、と考えに考えた結果、たどり着いたのはワインでした。

 このネオニコチノイド系農薬の調査の結果は、追って別のレポートで報告していく予定ですが、せっかく入手できたワインですので、最近、消費者の関心が高まっているグリホサートについても追加試験を実施することにしました。その結果、思いがけず複数の製品からグリホサートが検出されるという実態に出会うことになりました。

 今回は、入手した製品の多くはマイナーな生産国のものが中心です。資金的な支援が得られれば、よりメジャーなヨーロッパ、アメリカ、南米、オーストラリアなど産地のワインについても調査をおこなっていく予定です。

分析方法などについて

赤ワイン試験中

結果

表1に示すように、13製品からグリホサートを検出しました。なお、「痕跡」は、定量下限値以下、検出限界以上で検出があったことを示します。わかりやすく説明をしますと、本分析法で、残留は確認できるけれども、濃度が決められるほどの濃度ではなかったという意味です。食品衛生法上は、不検出と同等と扱われます。

表1 輸入ワイン中のグリホサート残留状況調査2018 1st
No. 画像 サンプル名 産地 産年 製造元 グリホサート検出値(ppm)
1
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赤ワイン
アスコニ エクセプショナル・メルロー
Asconi Exceptional Merlot
モルドバ 2012 ASCONI 不検出
2 no_images
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赤ワイン
キュヴェ・ド・プレジデント ルージュ
Cuvee Du President Rouge
アルジェリア 2015 O.N.V.C(OFFICE NATIONAL DE COMMERCIALISATION DES PRODUITS VITI CINICOLES) 不検出
3 no_images
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赤ワイン
ビノ ルージュ・ド・タマーニュ
Rouge de Tamagne
ロシア 2016 Kuban Vino 0.021
4 no_images
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赤ワイン
シャトー モルナグ ルージュ
Chateau MORNAG VIN ROUGE (MORNAG GRAND CRU)
チュニジア 2015 Les Vignerons de Carthage 0.054
5 no_images
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赤ワイン
ヴィ・ピノ
La Vie PINOT NOIR
ルーマニア 2015 Sc Domeniile Sahateni Sri 0.021
6 no_images
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赤ワイン
サペラヴィ・タルダン
CAIIEPABI Mater Tardan
ウクライナ 2014 SHABO LLC 不検出
7 no_images
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赤ワイン
スラ・ヴィンヤーズ サトリ ”悟”
SULA MERLOT MALBEC Satori
インド 2017.11 Sula Vineyards Pvt. Ltd. 痕跡
8 no_images
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赤ワイン
トラヴェルサ タナ
TRAVERSA TANNAT
ウルグアイ 2016 GRUPO TRAVERSA S.A. 0.015
9 no_images
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赤ワイン
ダラッドワイン・レッド
Vang Dalat
ベトナム 2015 Ladora Winery 痕跡
10 no_images
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赤ワイン
オリンポス レッド・ドライ 
OLYMBUS DRY RED WINE
キプロス 記載なし Olympus Wineries Ltd 痕跡
11 no_images
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赤ワイン
モンスーンバレー レッド
MONSOON VALLEY WINE
タイ 2015 Saim Winery Co.Ltd, 痕跡
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赤ワイン(オーガニック)
TERZO ROSSO TOSCANO
イタリア 2016 LaSelva s.a r.l.u 不検出
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赤ワイン
FRONTERA Carbenet Sauvignon
チリ 2016 CONCHA Y TORO 不検出
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赤ワイン ル 
メイン・カヴァノ2016年
Chateau Le Mayne-Cabanot A.O.C. Bordeaux
フランス 2016 VINS DE BORDEAUX 痕跡
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赤ワイン セニャー ドゥ ラ トゥール2015年 Seigneur De la Tour A.O.C. Bordeaux フランス 2015 VINS DE BORDEAUX 痕跡
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赤ワイン
シャトー レ フェルモントー2015年
Chateau les Fermenteaux A.O.C. Bordeaux
フランス 2015 VINS DE BORDEAUX 不検出
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赤ワイン
ル グラン ユモー2014年
Le Grand Humeau A.O.C. Bordeaux
フランス 2014 VINS DE BORDEAUX 0.012
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赤ワイン
シャトー リオタン2014年
Chateau Liontin A.O.C. Bordeaux
フランス 2014 VINS DE BORDEAUX 痕跡
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赤ワイン
ラ ロッジュ2015年
La Loge A.O.C. Bordeaux
フランス 2015 VINS DE BORDEAUX 痕跡
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白ワイン(オーガニック)
レ・グランザブル ヴァン・ド・フランス ブラン
Les Grands Arbres Van de France Blanc
フランス 2017 Badet Clement 不検出
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赤ワイン(オーガニック)
レ・グランザブル ヴァン・ド・フランス ルージュ
Les Grands Arbres Van de France Rouge
フランス 2016 Badet Clement 不検出
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赤ワイン(オーガニック)
マルケス・デ・チベ オーガニック レッド
MARQUES DE CHIVE Organic TEMPRANILLO 2014
スペイン 2014 Vicente Gandia 不検出

考察と補足

赤ワインの揺らぎ

関連リンク

モンサント社:グリホサートの有益性と安全性(PDF)

日本消費者連盟:海外消費者情報Vol.4:フランスワインに飲料水基準の300倍の残留農薬

山梨県産ワインと果汁、及びブドウにおける残留農薬実態調査:山梨衛環研年報 第54号 2010

Vine Art … from the palate of first vine wine online:Finally, some real data on pesticides in wine

QUE CHOISIR:Comparatif Pesticides dans les vins de Bordeaux

LE BLOG iDealwine:Bordeaux wines now contain three times fewer pesticides than less than 4 years ago

PPCVINO | 厳選ワイン・ニュース:フランス・ワインで農薬が検出される

募金と調査協力のお願い

LC/MS/MS  今後は、よりメジャーな国々のワインも集め、調査を進めていく計画です。みなさんからのワインの提供と研究募金などの支援をお願いいたします。

 1996年の設立以来、私たちの調査活動は、募金で運営されています。消費者や農民の立場に立った活動を続けていくためにも、みなさんからの支援が欠かせません。

分析装置導入募金のページへ

 どうぞよろしくお願いいたします。

尿や母乳、髪の毛などのグリホサート残留検査について

 尿や母乳、髪の毛などにグリホサートが含まれているかについて検査を希望される問い合わせが増えてきています。現在、ご希望に対応できるよう、急ピッチで検査態勢の整備を進めています。検査手法は、LC/MS/MSを利用した方法で、母乳や髪の毛の場合、定量下限値を0.05ppm(50ppb, 50ug/L)程度での感度を想定して進めています。Moms Across Americaでは、検出限界値を母乳で0.075ppm、尿で0.0075ppmとしていますので、同等の試験になるようにと考えています。

 なお、Moms Across Americaと互換のある試験法の採用を検討しています。これまでのデータの蓄積が共有できることになると考えており、現在、Zen Honeycuttさんと連絡を取りながらMoms Across Americaで試験を担当してきた研究者の方たちからの技術的な情報提供もお願いしているところです。

 検査受付開始は、2019年3月を目指しています。今しばらくお待ちください。なお、立ち上げにあたって、皆様からの募金をお願いしています。お力をお貸し下さい。

より詳しく情報を知りたいときは

 まず以下までお電話をください。

農民連食品分析センター
TEL:03-5926-5131
FAX:03-3959-5660
Email power8@nouminren.ne.jp