はじめに
輸入レモンには輸入時や保管時に黴類などの発生を抑えるためポストハーベスト農薬が使用されています。日本では行われないこの処理の結果を比較できる調査結果です。
- 農民連食品分析センターで1997年2月25日に分析終了し、発表した結果です。
- レモンにポストハーベスト農薬として使用される防かび剤イマザリルについて検査を実施しました。
結果
以下に示すように、輸入のレモンからはイマザリルが検出されています。
- 食品衛生法に定める残留基準値は、5.0ppmです(1997年現在)。
- 基準値超過にあたるレモンは見つかりませんでした。
- 検出率は高く、使用がかなり一般的であることが推測されます。
- 表示のないものからも検出が認められています。
- 不使用表示のものからの検出は無かった点は、適正であったと言えます。
産地 |
購入先 |
部位 |
農薬名 |
検出量(ppm) |
表示 |
アメリカ・カリフォルニア |
? |
全果 |
イマザリル |
1.78 |
なし |
アメリカ・カリフォルニア |
? |
全果 |
イマザリル |
1.51 |
なし |
アメリカ・カリフォルニア |
ダイエー |
全果 |
イマザリル |
2.48 |
使用 |
アメリカ・カリフォルニア |
ダイエー |
全果 |
イマザリル |
N.D |
不使用 |
外国 |
ダイエー |
全果 |
イマザリル |
0.07 |
使用 |
アメリカ・カリフォルニア |
ダイエー |
果肉 |
イマザリル |
0.04 |
使用 |
日本 |
ダイエー |
全果 |
イマザリル |
N.D |
不使用 |
日本 |
ダイエー |
全果 |
イマザリル |
N.D |
不使用 |
補足
- イマザリルは、殺菌剤として機能しますが、遺伝毒性をもつ物質としての報告があるようです。
- 農薬取締法により、収穫後の農薬散布は禁止されています。このため、日本ではポストハーベスト処理は行われません。
- レモンなどの輸入柑橘は、輸出時や倉庫保管前に、数種類の薬剤によりポストハーベスト処理を受け、腐敗を防ぎます。さらに、この処理のあと、ワックスでコートされ、水分の蒸発を押さえ、見た目の品質低下を防ぎます。こうして処理されたかんきつ類は、冷蔵倉庫などで長期間保存できるようになります。流通する輸入柑橘には収穫日から1年近く経つものもあったと言われています。
- 農民連食品分析センターでは、確認ができていない情報ですが、このような果皮や果肉の腐敗を防ぐことを目的としたポストハーベストのほか、かつては、レモンのヘタ部分を黄緑色のまま長期間維持させるために、ヘタ部分に除草剤を散布し、枯れさせ色を固定させる処理も行っていたという報告がありました。
- このほか、輸入レモンは、ビタミンC含有量が低い結果も確認されています。下記の関連データを参考ください。
より詳しく情報を知りたいときは
まず以下までお電話をください。
農民連食品分析センター
TEL:03-5926-5131
FAX:03-3959-5660
Email power8@nouminren.ne.jp