2024.2.13公開

はじめに

 泡消化剤やフライパンの撥水用途などで広く利用されてきたPFASピーファス(Per- and Polyfluoroalkyl Substances/有機フッ素化合物)が、環境中に放出され、水系を汚染していることが明らかになっています。このような汚染が発生した原水を利用して供給される飲料水によって健康への影響が懸念されています。
 PFAS汚染の実態把握と課題解決に向かって、今日、多くの市民グループや研究者、行政などが取り組みを開始していますが、その検査の受け入れ態勢は十分とは言えない状況があります。農民連食品分析センターでは、募金で設立された背景を踏まえ、市民や研究者などの取り組みを積極的に支援するため、PFAS検査コースを開設しました。地域の状況調査、調査研究などに様々な場面で柔軟に検査対応ができるようにしています。
 なお、非営利であり、市民運動、研究、教育などの立場で、調査研究が目的の利用では、特別価格での対応が可能な場合があります。調査目的などを記入した適用要請書 を記入の上、ご相談ください。

検査費用について(いずれも円/1検体、税別価格です)

検査コース 対象成分 一般 サポーター(?) 農民連会員(?) 調査研究に該当するもの

PFAS 7成分
一斉分析コース
(米CDC,米ATSDR評価対象対応コース)

健康影響の恐れがあるとして全米アカデミーズが血中濃度の指標値を設定した項目。米国疾病管理予防センター(CDC)と有毒物質疾病登録庁(ATSDR)による暴露評価対象成分に相当。

米国科学・工学・医学アカデミーは、米国ATSDR及び米国国立環境衛生科学研究所から依頼を受け、PFAS暴露を受けた患者の検査及び治療に関する助言のための臨時委員会を立ち上げた。特に、2019年にATSDRが発出した「PFASに関する臨床医のためのガイダンスと科学的概要」の改訂も念頭に、暴露を受けた患者への里長方針立案に関する原則とその説明に関する助言依頼を受け、「PFAS暴露、検査、臨床経過観察に関するガイダンス」を2022年に発出している。

PFOA
PFOS
PFHxS
PFNA
N-MeFOSAA
PFDA
PFUnDA
75,000 65,000 38,000 非営利、市民運動、研究、教育などの立場で、調査研究が目的の利用では、特別価格での対応が可能な場合があります。目的などを適用要請書 に記入の上、ご相談ください。

PFAS 3成分
一斉分析コース
(POPs条約規制、水道法要検討項目対応コース)

環境省、厚生労働省によって暫定目標値(PFOA, PFOSの合算で50 ng/L)が定められている成分に加え、ストックホルム条約(POPs条約)で規制対象成分とされているもの。PFHxSは、厚生労働省の水道法要検討項目としてリストされている。

PFOA
PFOS
PFHxS
50,000 43,000 30,000 -

PFAS 2成分
一斉分析コース
(日本の暫定目標値設定成分対応コース)

環境省、厚生労働省によって暫定目標値(PFOA, PFOSの合算で50 ng/L)が定められている成分。

PFOA
PFOS
40,000 34,000 25,000 -

その他のPFAS関連分析

問合せください。 - - - -

 *検査費用の払込手数料はご負担ください。私たちの施設は、募金により設立されています。活動の趣旨をご理解のうえ、ご利用と応援をお願いいたします。

分析対象試料:水

 分析対照試料は、「水試料」となります(ただし、海水は除く)。なお、工業廃水など、高濃度での検出が予想されるような試料の場合は、試事前にお知らせ下さい。

検査法について

測定雰囲気 試料について精製処理をおこなった後、高速液体クロマトグラフタンデム質量分析計(LC-MS/MS)を用い、対象成分の定性、定量を行います。測定対象成分の定量下限値は、PFOA, PFOS, PFHxS, N-MeFOSAA, PFDA, PFUnDAで0.2 ng/Lとなります。PFNAについては0.6 ng/Lとなります。

納期について

 通常納期は、10〜18営業日となります。

 なお、試料数または分析受託状況によってお時間をいただく場合がございます。お手数ですが、詳しい納期やお急ぎの場合については、お問い合わせください。

試料の採取と送付について

試料採水容器:
 飲料水の入っていた500mLのペットボトルをご用意下さい。本数が多いなど、容器の用意が難しい場合は、分析センターから容器をお送りすることも可能です(有償)。必要な場合は、ご連絡ください。

試料方法:容器を分析対象の水で、2~3回共洗いした後、500mL程度採水してください。

試料送付方法:下記の住所宛に宅配便(冷蔵)にてお送りください。

〒173-0025 東京都板橋区熊野町47ー11
一般社団法人 農民連食品分析センター
電話 03-5926-5131 FAX 03-3959-5660

調査・研究などで利用したい場合

 非営利の市民団体、教育機関、研究機関の場合、その目的によっては、特別な価格での試験対応をおこなうことがあります。私どもの施設は、限られた資金で運営されているため、すべてのご相談についてご対応することは難しいですが、まずは計画している調査プロジェクトの目的や規模、予算などをお知らせ下さい(>>適用要請書)。

検査のご依頼について(分析依頼書の作成)

 03-5926-5131までお電話ください。打ち合わせなしで、試料を送られた場合は、検査ができないことがあります。お打ち合わせ後、PFAS用分析依頼書(PDF版 / Word版)に必要事項を書き、メールまたはFAX(03-3959-5660)にてご送付ください。サンプル発送の際は、忘れずに分析依頼書を同封してください。

検査・調査例

■検査例:試験法開発の過程で行った河川水などのPFAS7成分調査結果2024

 試験法開発の作業過程で、いくつかの地域で河川水などを採取し、PFAS7成分検査を実施しました。検査例として以下に紹介をしておきました。全30地点(井戸水2地点、河川水20地点、ため池3地点、水道水2地点、溜り水2地点)の調査結果で、河川水1地点で、国の暫定目標値50 ng/Lを超過する検出が認められています。ご参考下さい。

*測定地点名の一部に修正を行いました。(2024年2月26日)

No.
 地点
 種別
PFOA
PFNA
総PFHxS
(直+分)
総PFOS
(直+分)
PFDeA
PF
UnDeA
N-Me
FOSAA
PFOA
+PFOS
PFOA
+PFOS
+PFHxS
+PFNA
PFAS7成分合計
T-01 広島県広島市 河川水
2.7
1.2
5.1
7.8
N.D.
N.D.
N.D.
10.5
16.8
16.8
T-02 広島県東広島市 河川水
4.9
2.9
0.9
2.0
0.6
N.D.
N.D.
6.9
10.7
11.4
T-03 広島県呉市 河川水
0.4
N.D.
N.D.
0.3
N.D.
N.D.
N.D.
0.7
0.7
0.7
T-04 広島県広島市 河川水
1.1
N.D.
0.3
0.2
N.D.
N.D.
N.D.
1.3
1.6
1.6
T-05 広島県広島市 河川水
1.5
1.1
0.5
1.1
N.D.
N.D.
N.D.
2.5
4.1
4.1
T-06 広島県呉市 河川水
1.4
6.3
0.5
6.1
0.4
2.0
N.D.
7.5
14.3
16.6
T-07 広島県呉市 河川水
1.8
0.7
0.4
1.8
N.D.
N.D.
N.D.
3.5
4.6
4.6
T-08 山口県山口市 河川水
0.7
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
0.7
0.7
0.7
T-09 山口県山口市 河川水
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
T-10 山口県山口市 ため池
1.5
0.9
N.D.
1.6
0.3
1.6
N.D.
3.1
4.0
6.0
T-11 福岡県古賀市 ため池
1.0
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
1.0
1.0
1.0
T-12 福岡県福岡市 ため池
3.8
0.6
1.3
1.6
N.D.
N.D.
N.D.
5.5
7.4
7.4
T-13 福岡県太宰府市 河川水
1.8
0.7
1.0
0.6
N.D.
0.3
N.D.
2.4
4.2
4.5
T-14 福岡県福岡市 河+海水
13.4
14.3
12.3
29.5
0.7
0.4
N.D.
42.9
69.4
70.5
T-15 大分県宇佐市 河川水
0.2
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
0.2
0.2
0.2
T-16 大分県別府市 河川水
0.6
N.D.
N.D.
0.3
N.D.
N.D.
N.D.
0.9
0.9
0.9
T-17 宮崎県宮崎市 河川水
1.9
1.1
N.D.
 
0.2
0.3
N.D.
1.9
3.0
3.6
T-18 宮崎県児湯郡 河川水
0.4
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
0.4
0.4
0.4
T-19 宮崎県児湯郡 河川水
4.7
26.8
39.9
129.4
0.4
0.2
N.D.
134.1
200.8
201.4
T-20 宮崎県児湯郡 河川水
1.8
2.8
5.9
14.4
0.3
0.9
N.D.
16.2
25.0
26.1
T-21 大阪府大阪市 溜り水
7.6
1.6
0.3
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
7.6
9.4
9.4
T-22 大阪府大阪市 溜り水
3.9
1.4
0.3
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
3.9
5.6
5.6
T-23 大分県宇佐市 井戸水
1.2
N.D.
N.D.
0.5
N.D.
N.D.
N.D.
1.7
1.7
1.7
T-24 福岡県豊前市 井戸水
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
T-25 大分県宇佐市 水道水
0.2
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
0.2
0.2
0.2
T-26 大阪府大阪市 水道水
7.3
2.0
0.5
1.3
0.5
0.2
N.D.
8.5
11.0
11.8
T-27 茨城県龍ケ崎市 河川水
12.8
4.2
1.6
1.3
0.6
0.3
N.D.
14.1
19.9
20.9
T-28 茨城県取手市 河川水
5.7
5.1
0.7
1.9
0.5
0.4
N.D.
7.5
13.3
14.2
T-29 茨城県高萩市 河川水
0.9
1.0
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
0.9
1.8
1.8
T-30 茨城県日立市 河川水
1.8
2.6
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
1.8
4.5
4.5
単位はng/L


農民連食品分析センターについて

分析サポーター会員登録 農民連食品分析センターは、1996年に多くの農業者や消費者の募金により設立された背景を持つ世界的にも珍しい分析施設です。募金による設立のため、企業や行政などの影響を受けることなく、独立した立場で活動を行っています。

 1996年の設立以来、私たちの調査活動は、募金で運営されています。正直なところ、私たちの活動に必要な財政は厳しいところにあります。消費者や農民の立場に立った活動を続けていくためにも、みなさんからの支援が欠かせません。

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