2023.8.4公開

はじめに

 グリホサートは、植物の種類を選ばず、高い除草効果が得られる除草剤成分です。入手も容易なうえ、農薬になれていない人でも取り扱いがしやすいことから、農用地の管理だけでなく、駐車場や空き地の管理、道路脇や庭の除草などに広く使用されています。一方、安易な散布によって「飛散」、「漏出」、「いたずら」などが起き、近隣の田畑の農産物が枯れてしまった、お隣の植木や植物などに被害がでてしまった、などのケースも起きることがあるようです。
 最近、こういった相談をいただくことが増えています。そこで、意図的なグリホサート散布による影響を受けたと考えられる場所の土壌や植物体などについて、グリホサートの残留を確認する試験コースを用意しました。

検査費用について

区分 1検体あたりの価格
農民連会員(?) 14,850円(税込) *税抜き13,500円
募金協力会員(?) 22,275円(税込)*税抜き20,250円
一般価格(?) 29,700円(税込)*税抜き27,000円

 *検査費用の払込手数料はご負担ください。私たちの施設は、募金により設立されています。活動の趣旨をご理解のうえ、ご利用と応援をお願いいたします。

納期について

 納期は、10営業日となります。

検査後の土壌の返送について

 検査でお受け取りした土壌サンプルは、検査が終了した後、残った土壌サンプルは、ご依頼主様宛に着払いで返送させていただいています。ご了承ください。

検査法について

■検査の対象成分はなに?

測定雰囲気 この試験では、除草剤成分「グリホサート」について検出を行います。定量下限は、0.01 mg/kgとなります。なお、検査試料に汚れなど、分析の妨害になる成分が多く含まれる試料の場合では、定量下限の到達が難しいことがあります。

■試験方法について

測定雰囲気 試料について抽出、精製処理をおこなった後、高速液体クロマトグラフタンデム質量分析計による検出をおこないます。同位体標識付標準品が存在する成分については、同位体標識付標準品を使用し、定性と定量を行います。(詳細をクリックで続きを表示)

  • 測定装置:島津製作所 超高速トリプル四重極型質量分析計LCMS-8050システム
  • 分離カラム:InertSustain C18 (3μm, 2.1 x 150 mm)
  • 測定モード:ESI / MRM法による
  • 定性定量:放射性同位体標識付標準品を用いた標準添加法・内部標準法
  • データ処理:LCMS SolutionおよびInsight による解析

検査・調査例

■検査例1:近隣の緑地で散布されたグリホサートの飛散例

 2021年、近隣の緑地で植物の枯れが確認された。除草剤が散布されたのかもしれない、という相談を受け、被害発生場所の土壌について試験を実施した。

試料ID 試料名 分析結果(mg/kg)
1 土壌 グリホサート 0.03

■検査例2:道路管理の除草剤が稲へ飛散した例

 2020年8月、道路沿いの水稲に生育障害が発生。同年6月頃、水田に面する道路ののり面を管理業者がグリホサートを使用して除草作業を行っていたことが判明。これが飛散して、影響を与えたのではないか、という内容での相談をうけ、生育障害が認められる水稲の稲穂(植物試料)について、試験を実施した。結果、複数の試料から、グリホサートの残留が確認された。

試料ID 試料名 分析結果 (mg/kg)
1 稲穂A グリホサート 0.02
2 稲穂B グリホサート 痕跡
3 稲穂C 検出せず
4 稲穂D グリホサート 0.01
5 稲穂E グリホサート 痕跡
6 稲穂F グリホサート 痕跡
7 稲穂G グリホサート 痕跡

グリホサート以外の除草剤の検査について

 グリホサートは、世界で最も出荷量が多い除草剤ですが、グリホサート以外にも数多くの除草剤が存在します。単に植物が枯れた、という状況が発生した場合、必ずしもグリホサートが原因成分ではないこともあります。この検査コースは、「グリホサートのみ」を対象にした検査ですが、グリホサート以外の除草剤も検査したい場合は、その他の検査コースを組み合わせる必要があります。詳細については、各検査紹介ページをご覧いただくか、お電話などでお気軽にお問い合わせください(メール / 電話03-5926-5131)。

検査依頼Q & A

Q 分析依頼をしたいのですがどうすればよいですか?

 A 03-5926-5131までお電話ください。打ち合わせなしで、試料を送られた場合は、検査ができないことがあります。お打ち合わせ後、分析依頼書(リンク)に必要事項を書き、メールまたはFAX(03-3959-5660)にてご送付ください。サンプル発送の際は、忘れずに分析依頼書を同封してください。

Q 必要なサンプル量はどのぐらいですか?

A 検査には、原則、土壌や植物体の場合、200g以上を目安に送っていただく形になります。サンプルが少量で確保が難しい場合は、ご相談下さい。試料の種類によっては、調整が可能な場合があります。

Q 試料が木の枝なのですがだいじょうぶですか?

A 木の枝などの試料は、原則、チップ化したものでお願い致します。枝のままでは試験作業が困難なため、ご協力をお願い致します。チップ化などの処理が難しい場合は、必ず事前に、ご相談ください。

Q 容器はどんなものを使えば良いですか?

A 検査対象農薬に汚染されていないきれいなボトルやポリ袋を用意してください。漏れたりしないものである必要があります。土壌や植物などの場合は、厚手のチャックつき袋で大丈夫です。なお、採取ボトルをこちらでお手配することも可能です(有料)。ご希望の場合は、事前にお問い合わせください。

Q 発送はどのようにしたら良いですか?

A 採取後は、速やかに分析センターまでお送りください。すぐに発送ができない場合は、冷蔵庫等で低温保管をしてください。夏場などの気温が高い季節は、冷蔵便での発送をお勧めします。なお、荷物発送の際は、午前中着指定、土、日は避けたスケジュールでお願い致します。

Q 検査の結果、グリホサートの検出があったら、グリホサートが原因で枯れたと考えて良いでしょうか?

A この試験はグリホサートが原因だと断定する試験ではありません。枯れる原因はグリホサート以外の除草剤、水分不足、高温など環境的要因も想定する必要があります。

調査・研究などで利用したい場合

 非営利の市民団体、教育機関、研究機関の場合、その目的によっては、特別な価格での試験対応をおこなうことがあります。私どもの施設は、限られた資金で運営されているため、すべてのご相談ついてご対応することは難しいですが、計画している調査プロジェクトの目的や規模、予算などをお知らせ下さい。

農民連食品分析センターについて

分析サポーター会員登録 農民連食品分析センターは、1996年に多くの農業者や消費者の募金により設立された背景を持つ世界的にも珍しい分析施設です。募金による設立のため、企業や行政などの影響を受けることなく、独立した立場で活動を行っています。

 1996年の設立以来、私たちの調査活動は、募金で運営されています。正直なところ、私たちの活動に必要な財政は厳しいところにあります。消費者や農民の立場に立った活動を続けていくためにも、みなさんからの支援が欠かせません。

 分析センターを支援していただく会員「分析サポーター会員」の募集をしています。年会費一口5,000円以上で、サポーター会員になることが出来ます。私たちの活動を支えてください。よろしくお願い致します。

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