トップイメージ


はじめに

 福島第一原発事故により放出された放射性セシウムは、広く日本の各地に拡散しました。東京も例外なく放射性セシウムが降下し、汚染の影響を受けました。東京都内の放射性セシウムの汚染状況は、線量計を用いたマイクロシーベルト値でデータをまとめたマップが、多くの市民グループなどに作成され、生活に役立てられてきました。

  線量を中心にした汚染状況の評価は、線量計の効率によって、計測できるレベルが異なります。また測定する高さによっても、放射線の減衰があるため、1m で得られた結果が、震災前と同じであるとしても、それが汚染ゼロであるということにはなりません。また核種を分けて測定しているわけではないので、ほかの核種の影響も受けてしまいます。線量での汚染評価は、人体に対する影響を中心にした場合では、有効ですが、実際に、汚染の有無を評価するには、対象物を直接測定し、どのぐらい放射性セシウムが含まれるかについても調べる必要があると考えます。

 この調査は、2012年9月、板橋区にある大学の屋上が緑化された場所に生息していたダンゴムシを370匹採取し、生きたままゲルマニウム半導体検出器を用いて、放射性セシウムの検査をおこなったものです。屋上に降下した放射性セシウムを含む枯れ草(植物性堆積物)を食べたダンゴムシが、どのような状態にあるのかを簡単にまとめました。

試験方法について

結果

以下、表1に示すように、放射性セシウムがダンゴムシから検出されました。

ダンゴムシ結果

表1 ダンゴムシと屋上環境から検出された放射性セシウム
No. 品名 測定容器 結果 検出限界
Cs137 Cs134 Cs合計 Cs137 Cs134
1 ダンゴムシ(370匹) V-2 871 591 1462 21 23
2 土壌 V-11 728 500 625 88 93
3 採取場所周辺の枯れ草(植物性堆積物) V-11 546 268 414 242 235

考察

参考実験

ダンゴムシ結果
参考表1 ダンゴムシと屋上環境から検出された放射性セシウム
No. 品名 測定容器 結果 検出限界
Cs137 Cs134 Cs合計 Cs137 Cs134
1 ダンゴムシ(試験前) V-2 552 288 840 36 41
2 ダンゴムシ(試験後) U-8 14122 8516 22638 120 141

調査サンプルやアイデアをお寄せください

募金のお願い

LC/MS/MS  私たちの調査活動は、募金で運営されています。支援をお願い致します。

 世界では、経済性と効率化、企業のもうけのみを追求する強権的な貿易システムが推し進められようとしています。生命の営みとそのつながりを尊ばない食糧供給システムの流れに、分析と調査と人々のネットワークの力を使い、私たちは抗いたいのです。力をお貸し下さい。

分析装置導入募金のページへ

より詳しく情報を知りたいときは

 まず以下までお電話をください。

農民連食品分析センター
TEL:03-5926-5131
FAX:03-3959-5660
Email power8@nouminren.ne.jp