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 分析には野菜のくずがしこたまでる。サンプルの均一性を高めるためとはいえ、何ともやるせない。おまけに送られてくるのはどれをとっても極上の野菜ばかり。同封の野菜便りを読めばなおさらだ。ボクらの性分上この状況はほってはおけない。そんなわけでみそ汁を作ることにした。今ではいつも遅いお昼に欠かせない楽しみのひとつになった。なにを隠そうボクはみそ汁ッコでもあるのだ。

 

 分析をおこなうには最低限必要なサンプル量があります。多くの場合は100g程度あれば分析が行えますが、サンプルの均一性を高めるためと再分析の依頼を予測した場合を含め、200~1kgまたはそれ以上が保証されている最小出荷単位が適当だと考えています。(あと、当然ですが、継続した分析依頼が重要)

 

 時期的なものもあってだろうか。三月に入ってから分析の依頼数が少なくなった。本末転倒だが、みそ汁の具が減ってしまうのは何とも悲しい。具だくさんのみそ汁こそが英気の源なのだ。

 先日みそ汁に入れられる具を探し、ふた袋の大豆を見つけた。大豆がボクに訴えかける。「おう、試薬はすべてある。明日は豆腐づくりだ。」

 ここに始まる豆腐奮戦記。幾多のトラブルと分析スケジュールに追い回されながらも、翌日、どうにか形になった。以下、その行程。

 

材料 大豆2合、水、にがり(塩化Mg)、消泡剤

器具 ミキサー、鍋、生ゴミ用三角コーナー袋、薬さじ、ビーカー、発泡スチロール。温度計。

 


 

豆の吸水

大豆は中国産有機栽培大豆(詳細は割愛)。とりあえずこいつを2合ほど鍋にとり、約三倍量の水を加え、一晩かけて吸水させる。洗うのを忘れたが、まあいいだろう。

 

ふたを開けると、少し青臭くはあるが豆乳の臭い。何とも不思議な甘さを思い起こさせる。なめても決して甘くはないのだが・・・。

呉汁を作る

翌日、お米の残農抽出テ試験と平行して豆腐づくりにとりかかる(大丈夫かオレ?)。ふくれあがった大豆を早速ミキサーへ・・・。このときカップで大体6杯ほどの水を加える。スイッチを入れ、10分ほどホモジナイズ。どえらい量。ミキサーがあふれそう。

呉汁を煮る

 こぼさぬよう鍋にあけ、電気こんろで地道に暖める。焦げ付かないようにときどきかき混ぜながら・・・。

ちなみに分析センターには火のでる実験器具はない。それは引火するから・・・。

 

沸騰するまで煮る

それにしてもすごい泡。これは油断しないほうがいい。

予感

「!」っと、後ろで実験タイマーの呼ぶ音・・・。鍋はそのままにして抽出を再開。これがまずかった。数分後、何かの気配を感じ後ろを振り返る。

 

ふっくらしたケーキのような泡が鍋の形のまま、まっすぐ上に伸び上がってる。

 

いかーーん!!        駆けつけるも時すでに遅し・・。

ハプニング

電気こんろが助けを呼ぶ。すでに手遅れ。こんなことならはじめから「消泡剤」をいれておくのであったナァ。

消泡剤の威力

それにつけても消泡剤の威力はすばらしい。見る見る間に泡が消えていく。

 

 

さらしの代わり

当たり前だが分析センターにさらしなどというものはない。よって流しの引き出しを開けて発見したペットボトルのリサイクル品「三角コーナー用ゴミ袋」を利用する。不織布でなかなか具合がいい。

呉汁をこす

呉汁が沸騰を始めてから10分ほどで火から下ろし、豆乳とオカラに分ける。お玉ですくいながら、こぼさないように慎重にうつす。

 

 

豆乳を絞る

器がないので豆乳をミキサーに搾る。

熱い

その熱さには絶句。豆腐屋さんはどうやって搾ってるんだこんなもん。もう手が真っ赤。

 

 

豆乳を冷ます

搾り立ての豆乳は、まだ熱すぎるのでさまそうと、ここで再び抽出再開。豆乳は放ったらかしに。

適温を調べる

うるおぼえだが、にがりをいれるのは、70度ぐらいだったと記憶している。抽出の合間を見て、温度を測ってみる。あらら、50℃ちょいだ。少しさましすぎた。

 

ちなみに差し込んでいるのは水銀温度計。よい子は決してまねをしないように・・。磨りガラス付き超高級ガラス製品で一本2万円ほどする代物。

 

薬さじがなまめかしい。ケケケ

にがりの用意

入れているのは「にがり」に相当するMgCl、塩化マグネシウムだ。ぬるま湯50mlぐらいに適当に3杯ほど溶かす。

流し型

豆腐を入れる型をつくる。豆乳の量の割にちょっとでかかったナァ。

 

元になったのは標準試薬運搬用発泡スチロール
 

厚さ約2.5cmほど。ぺらぺら板状の豆腐だ。

完成

にがりを抜くためにしばらく水につけておく。

みそ汁

みよ!!この具だくさんなみそ汁を。

ボクの貧相な弁当のおかずよりゴージャス。

 

いただきます・・・。

 

少し堅く、形も悪く、売り物のようではないけれど、風味たっぷり濃厚な白い豆腐が、鍋狭しと浮かぶ。おいしいものを食べるにはやはり努力が必要だ。

 分析センターへの道は長く遠いかもしれないが、ぐずっていたって始まらない。これは分析をするボクらにもいえることだ。何かを変えるためには現状維持ではだめなのだと思う。おもしろいとか形あることに取り組んでいく、それはまるで算数の足し算のような結果を徐々に生みだしていく。

 その野菜はクロなのかシロなのか?分析を依頼すれば、濁ったみそ汁に浮かんでいてもそれはもちろん、豆腐のようなシロ。飲めば英気もわき上がる

 

 

実は分析センターで豆腐を作るのは今回が始めてではない。去年のいつ頃だったろうか?京都の大江さんから豆腐に使う「消泡剤」の残留性について分析の依頼を受けた。このときサンプルに・・と送っていただいたのが豆腐が何丁かとこの消泡剤の「グリセリン脂肪酸エステル」(変な名前)。で、実際にこの消泡剤の効果を確認するために、豆腐を作った。むろんこのときも適当だったが・・。