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Jul 08, 2010

【社会】遺伝子組み換え、雑草にも イヌガラシが交雑か

ポスト @ 15:16:02 | 新聞記事

7月3日、開催されたシンポジウムで遺伝子組換えナタネとイヌガラシの交雑が起きていることが報告されていました。中日新聞の社会面でも報道されていますので、紹介しておきます。

【社会】遺伝子組み換え、雑草にも イヌガラシが交雑か

2010年7月4日 朝刊

GMナタネとイヌガラシの交雑とみられる植物=三重県内で(河田昌東講師提供)
 三重県鈴鹿市周辺の国道23号沿いに遺伝子組み換え(GM)ナタネが自生している問題で、GMナタネとアブラナ科の「イヌガラシ」が交雑したとみられる植物が発見された。GMナタネと同様、除草剤への耐性がある。調査した市民団体は、10月に名古屋市で開かれる生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)で結果を報告する。
 COP10の開会まで100日前となる3日、市民団体が名古屋市で開いたシンポジウムで、「遺伝子組み換え食品を考える中部の会」の河田昌東(まさはる)四日市大非常勤講師が明らかにした。
 栽培植物との交雑の報告はこれまでもあるが、イヌガラシのようなどこにでも生えている雑草との交雑はなかったといい、河田講師は「GM化が一気に広がる恐れがある。生物多様性の危機は深刻だ」と警告した。
 6月中、下旬に三重県四日市市から津市にかけて行った調査で、高さ30〜50センチの計12本について遺伝子の塩基配列を調べるPCR検査をしたところ、広く普及している除草剤への耐性が確認された。
 全体的な姿が周辺にも多いイヌガラシに似ており、国立環境研究所(茨城県つくば市)に特定を依頼した。10月までに結果が出る見込み。
 GMナタネは、製油用にカナダなどから四日市港に輸入されており、工場に運ぶ途中にこぼれ落ちたとみられる。同会は2004年に調査を始め、道路で発芽したGMナタネや、在来ナタネとの交雑種の抜き取りを続けている。昨年末にはブロッコリーとの交雑種も見つけた。
 COP10は、輸入されたGM作物が他国の生物多様性や経済に影響を与えた場合、誰がどう補償するのかも主要なテーマ。この日のシンポでは、種子メーカーや販売業者にも責任を求め、故意や過失がなくても賠償責任を負うべきだとの提言が発表された。

 私はシンポジウムには参加できませんでしたが、COP10に向けての私達が向き合っている課題を浮き彫りにするものになり、このシンポジウムは大変有意義なものであったと思います。新聞記事によると、課題の個体は、国立環境研究所に特定作業について受け渡しが無事整ったようですので、こちらでご協力させていただいた情報もすこし追記しておきます。

 河田先生からプレ確認試験として疑いのある個体をお預かりさせていただいておりました。簡易試験でラウンドアップ耐性を示すものが1個体、ラウンドアップおよびバスタ耐性を示すものが1個体、バスタ耐性を示すものが1個体、比較対象として陰性の個体が1個体でした。いずれも外観はイヌガラシのように見えます。これら個体は、四日市などではごく普通に、遺伝子組換えナタネの個体と混ざって道ばたに生えていますので見慣れた植物です。

 これらの個体について、PCR法による試験を行ってみました。増幅対象にしたのは、

通常判定試験
・ナタネ固有タンパク配列遺伝子(Rubisco PCR反応確認用)
・組換え遺伝子(EPSPS グリホサート系除草剤耐性ナタネ検知用)
・組換え遺伝子(bar グルホシネート系除草剤耐性ナタネ検知用)
・組換え遺伝子(グリホサート系除草剤耐性ナタネ確認用)
・組換え遺伝子(グルホシネート系除草剤耐性ナタネ確認用)

補足試験
・組換え遺伝子(EPSPS_type34 グリホサート系除草剤耐性ナタネ検知用)
・組換え遺伝子(GOX グリホサート系除草剤耐性ナタネ検知用)
・組換え遺伝子(FMV グリホサート系除草剤耐性ナタネ検知用)

でした。 試験の結果、3つめの陰性試料以外は、ほぼ簡易試験と同じ結果となり、イヌガラシ中にそれぞれの耐性を持つ遺伝子が検出されることが確認されました。

なにより興味深いのは2つめの個体です。これは簡易試験で両品種に陽性反応をした個体ですが、PCR法ではラウンドアップ耐性のみに陽性として判定されました。簡易試験の結果が適切でなかったのではないか、とも考えましたが、PCR法で得られたデータには、バスタ系配列の増幅結果に、予測されるバンドサイズより異なったバンドが検出されていることがわかっています。これは単にエラーバンドなのか、バスタ耐性発現配列が微妙に異なっている結果なのかはわかっていません。

今後いくつかの試験を追加しながらこちらでもデータを集めていければと考えています。

Aug 17, 2009

[朝日新聞]遺伝子組み換えナタネ、在来種と交雑 環境省確認

ポスト @ 17:27:53 | お知らせ,新聞記事

 今日のasahi.comに遺伝子組み換えナタネと在来種の交雑を環境省が確認した、という内容の記事がありました。

遺伝子組み換えナタネ、在来種と交雑 環境省確認

2009年8月17日7時21分

 遺伝子組み換えセイヨウナタネが在来ナタネと交雑したとみられる個体を、環境省が国内で初めて確認した。ナタネの輸入港や輸送路を対象とした昨年の調査で、三重県松阪市の河川敷から採取した個体を分析してわかった。

 遺伝子組み換えで作られ、特定の除草剤をまいても枯れなくした除草剤耐性ナタネは、年間200万トン程度輸入されるナタネの8割ほどを占める。これがこぼれて、港周辺などで自生していることは5年前から確認されてきた。

 環境省が在来ナタネと思われる個体を分析したところ、組み換えナタネの特徴である除草剤耐性に関係するたんぱく質が検出された。その種子から育てた芽にも除草剤耐性を示すものがあり、染色体数が29本で、在来ナタネ(20本)と組み換えナタネ(38本)の中間だったことから、交雑によると考えられた。

 環境省外来生物対策室は、「組み換えナタネの利用承認の際に交雑の可能性は予想されていた。在来ナタネも元は外来植物で日本産の野生種と言えない」などとして生物多様性に悪影響を与える事例とはみなしていない。

 一方、組み換えナタネの監視を続ける河田昌東・遺伝子組み換え情報室代表は「組み換えナタネがはびこってしまってからでは、悪影響があった場合に回復不能となりかねない」と対応の必要性を主張している。(米山正寛)

 7月21日に発表された環境省クリアリングハウス(J-BHC)の調査結果に基づく報道です。J-BHCでは平成15年度からカルタヘナ法に基づく、遺伝子組換えナタネの調査をおこなっています。その20年度版ということになります。

 同様の調査をおこなってきた私達は、これまで「本来別々の品種にあるはずの組み換え遺伝子が交雑によってその両方を持つようになったと考えられる個体」、「組み換え遺伝子をもつものの発現していないと考えられる個体」を確認しています。私達はまだ報告にあるような在来ナタネと遺伝子組換えナタネが交雑した個体に出会うことはできていません。

 しかし、これまでに各地を走り回り、見てきた経験から言えば、報道にあるような交雑種の発生は起きていてもおかしくない状況が各地にあったと感じています。2005年、三重県の鈴鹿川で確認した例では、橋の上や国道には遺伝子組換えナタネが、その橋の下や土手には普通のアブラナ科植物が広がっているという状況がありました。この光景を見れば、染色体数などの問題はあるものの、非常に雑多な環境で二つの系統が混在しているわけで、交雑の可能性は十分に感じられる状態でした。

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