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2009年の調査をすすめるうち、私達は奇妙な結果が増えていることに気がつきました。 それは簡易試験と確認試験の一致しない個体が存在していることです。また感覚的にではありますが、その数が年々増えてきてていることです。
たとえば、イムノクロマト法を利用した簡易試験をおこなった際には、陰性(普通のナタネ)という結果になるにもかかわらず、PCR法を利用し、形質発現遺伝子(EPSPS, bar/PAT, GOX, promoter)および、遺伝子組換え確認領域について確認試験を行うと、これらの配列が増幅され、陽性(遺伝子組換えナタネ)という結果になる個体が存在します。 これは逆のケースもあり、簡易試験では陽性でも、確認試験を行うと、通常、遺伝子組換えナタネなら増幅されるはずの配列のセットが、一致しない個体も確認されています。
これまでの経緯をまとめると、まず2007年福岡県博多港で採取した個体が上げられます。この個体は、簡易試験ではグリホサート耐性に陽性、グルホシネート耐性に陰性と判定された個体でしたが、PCR法ではグリホサート耐性、グルホシネート耐性両方の遺伝子が検出されました。さらにこの個体からはグリホサート耐性のナタネは持っていないはずの、稔性回復、雄性不稔、プロモーター遺伝子(グルホシネート耐性ナタネに存在するタイプ)も検出されています。 2008年、三重県四日市港周辺では、簡易試験に陰性、PCR法に陽性となる個体、また簡易試験に陰性、PCR法に陽性となる個体が採取されています。 2009年は、まだ確認試験中ではありますが、13もの一致しない個体が確認されています。
簡易試験紙とPCRの結果が一致しない理由の仮説として考えられるのは、何らかの理由で、
1については、何かしらの理由で、形質発現に必要なプロモーター配列、ターミネーター配列、形質発現の中心になる配列、の一部が欠損などの変化を起こしているものの、その変化した部位が、確認試験で増幅をおこなう領域と重なっていないため、PCR法では従来通りの結果として増幅、バンドが確認されるという可能性が考えられます。
2については、何かしらの理由で、配列の一部に変化が起こっているが、変化がわずかであると、耐性形質を表すタンパク質合成は従来通りおこなわれ、その結果、簡易試験での判定は陽性となるものの、その変化した部位がプライマーが利用する部位であると、増幅ができず、陰性という結果を導き出すのではないかという可能性が考えられます。
いずれにせよ、まだ仮説の域を出ないため、今後、より踏み込んだ試験に取り組んでいく必要と時期にあると考えています。
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2009年の調査をすすめるうち、私達は奇妙な結果が増えていることに気がつきました。 それは簡易試験と確認試験の一致しない個体が存在していることです。また感覚的にではありますが、その数が年々増えてきてていることです。
たとえば、イムノクロマト法を利用した簡易試験をおこなった際には、陰性(普通のナタネ)という結果になるにもかかわらず、PCR法を利用し、形質発現遺伝子(EPSPS, bar/PAT, GOX, promoter)および、遺伝子組換え確認領域について確認試験を行うと、これらの配列が増幅され、陽性(遺伝子組換えナタネ)という結果になる個体が存在します。
これは逆のケースもあり、簡易試験では陽性でも、確認試験を行うと、通常、遺伝子組換えナタネなら増幅されるはずの配列のセットが、一致しない個体も確認されています。
これまでの経緯をまとめると、まず2007年福岡県博多港で採取した個体が上げられます。この個体は、簡易試験ではグリホサート耐性に陽性、グルホシネート耐性に陰性と判定された個体でしたが、PCR法ではグリホサート耐性、グルホシネート耐性両方の遺伝子が検出されました。さらにこの個体からはグリホサート耐性のナタネは持っていないはずの、稔性回復、雄性不稔、プロモーター遺伝子(グルホシネート耐性ナタネに存在するタイプ)も検出されています。
2008年、三重県四日市港周辺では、簡易試験に陰性、PCR法に陽性となる個体、また簡易試験に陰性、PCR法に陽性となる個体が採取されています。
2009年は、まだ確認試験中ではありますが、13もの一致しない個体が確認されています。
簡易試験紙とPCRの結果が一致しない理由の仮説として考えられるのは、何らかの理由で、
1については、何かしらの理由で、形質発現に必要なプロモーター配列、ターミネーター配列、形質発現の中心になる配列、の一部が欠損などの変化を起こしているものの、その変化した部位が、確認試験で増幅をおこなう領域と重なっていないため、PCR法では従来通りの結果として増幅、バンドが確認されるという可能性が考えられます。
2については、何かしらの理由で、配列の一部に変化が起こっているが、変化がわずかであると、耐性形質を表すタンパク質合成は従来通りおこなわれ、その結果、簡易試験での判定は陽性となるものの、その変化した部位がプライマーが利用する部位であると、増幅ができず、陰性という結果を導き出すのではないかという可能性が考えられます。
いずれにせよ、まだ仮説の域を出ないため、今後、より踏み込んだ試験に取り組んでいく必要と時期にあると考えています。