Aug 17, 2009

[朝日新聞]遺伝子組み換えナタネ、在来種と交雑 環境省確認

ポスト @ 17:27:53 | お知らせ,新聞記事

 今日のasahi.comに遺伝子組み換えナタネと在来種の交雑を環境省が確認した、という内容の記事がありました。

遺伝子組み換えナタネ、在来種と交雑 環境省確認

2009年8月17日7時21分

 遺伝子組み換えセイヨウナタネが在来ナタネと交雑したとみられる個体を、環境省が国内で初めて確認した。ナタネの輸入港や輸送路を対象とした昨年の調査で、三重県松阪市の河川敷から採取した個体を分析してわかった。

 遺伝子組み換えで作られ、特定の除草剤をまいても枯れなくした除草剤耐性ナタネは、年間200万トン程度輸入されるナタネの8割ほどを占める。これがこぼれて、港周辺などで自生していることは5年前から確認されてきた。

 環境省が在来ナタネと思われる個体を分析したところ、組み換えナタネの特徴である除草剤耐性に関係するたんぱく質が検出された。その種子から育てた芽にも除草剤耐性を示すものがあり、染色体数が29本で、在来ナタネ(20本)と組み換えナタネ(38本)の中間だったことから、交雑によると考えられた。

 環境省外来生物対策室は、「組み換えナタネの利用承認の際に交雑の可能性は予想されていた。在来ナタネも元は外来植物で日本産の野生種と言えない」などとして生物多様性に悪影響を与える事例とはみなしていない。

 一方、組み換えナタネの監視を続ける河田昌東・遺伝子組み換え情報室代表は「組み換えナタネがはびこってしまってからでは、悪影響があった場合に回復不能となりかねない」と対応の必要性を主張している。(米山正寛)

 7月21日に発表された環境省クリアリングハウス(J-BHC)の調査結果に基づく報道です。J-BHCでは平成15年度からカルタヘナ法に基づく、遺伝子組換えナタネの調査をおこなっています。その20年度版ということになります。

 同様の調査をおこなってきた私達は、これまで「本来別々の品種にあるはずの組み換え遺伝子が交雑によってその両方を持つようになったと考えられる個体」、「組み換え遺伝子をもつものの発現していないと考えられる個体」を確認しています。私達はまだ報告にあるような在来ナタネと遺伝子組換えナタネが交雑した個体に出会うことはできていません。

 しかし、これまでに各地を走り回り、見てきた経験から言えば、報道にあるような交雑種の発生は起きていてもおかしくない状況が各地にあったと感じています。2005年、三重県の鈴鹿川で確認した例では、橋の上や国道には遺伝子組換えナタネが、その橋の下や土手には普通のアブラナ科植物が広がっているという状況がありました。この光景を見れば、染色体数などの問題はあるものの、非常に雑多な環境で二つの系統が混在しているわけで、交雑の可能性は十分に感じられる状態でした。

 今回の環境省の報告によると、出雲川で採取された在来ナタネ?も同様の環境下にあったと書かれています。そうした環境下で生育していた在来ナタネ?から採取した種をまいたところ、育った個体(実生)がグリホサート系除草剤に耐性が確認されたとあります。染色体数からもこれはかなり可能性の高い結果であるといえます*。

 生物多様性という観点からは、この交雑が、日本の自然界に影響を及ぼす可能性は低いと環境省は判断しています。

 しかし、人間の産業活動を含めた環境では、遺伝子特許の問題、承認の完了していない遺伝子組換え品種の存在をどうあつかうべきか、農業への影響(交雑による特許侵害、地域丸ごとの風評を含む)などを、今後、対策、整理しなければいけなくなるのではないか、そう私達は心配しています。

 また、カルタヘナ法の解釈からは、そもそも「在来ナタネは日本産の野生植物ではありません。」という判断を下すのはやむおえないかもしれません。ただ、自然界で交雑が進みうるというこの結果は、科学的にも経済的にもたいへん辛辣に受け止められるべきものだと思います。

 報告以上の部分にまで踏み込んでしまいましたが、遺伝子組換えナタネ調査とってこの報告は、そのぐらいのビッグニュースにあたるものでした。今後の調査に生かしていけたらと思います。

 以下に参考になりそうなページを上げておきます。

*西洋ナタネの染色体数は38本、在来ナタネの染色体数は20本、交雑するときに減数分裂をしますので、西洋ナタネは染色体数を19本提供し、在来ナタネは10本用意します。この二つの組み合わせなので、19+10本で29本ということです。

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