ダイオキシン類くそちしき-其の1-

 「ピコグラムの一円玉的考察」

 

 

 

 ニュースステーションがやっと最高値3.8pg(ピコグラム)がお茶由来であることを公開しました。そのいきさつと問題にはこの際触れずにおきたいものです。

 この3.8pgが多いか少ないかですが、1996年6月、厚生省が設定したダイオキシン類の一日摂取耐容量(TDI:Tolerable Daily Intake)が10pgとなっていますから、設定値以下であるには違いありません。(この設定値が高いか低いかもこの際おいておきましょう)ではどのぐらい小さいことになるのでしょう?

 

*TDI(Tolerable Daily Intake)一日摂取許容量

実験動物に一生涯にわたって化学物質を与え、何の毒性も現れない最大投与量(最大無作用量)をもとめ、人間と実験動物の感受性における違いを考慮し、1000分の1から5000分の1の安全係数をかけ、この値を人の最大無作用量と考える。こうして得られた最大無作用量に成人の体重1kgにつき一日あたりの化学物質の量(mg)に換算したものをさす。mg/kg体重/日(mg/kg b.w./day)で表される。ダイオキシン類では同族体での毒性の違いがあるため、正確にはTEQとして表す必要があるため、TEQ/kg体重/日(mg/kg b.w./day)とかく場合もある。

TEQ(Total Equivalent Quantity) 2,3,7,8-TCDD毒性等量

2,3,7,8-TCDD等価換算係数(TEF)を実際に検出されたダイオキシン類を2,3,7,8-TCDDの毒性を1とした場合どのくらいの量に相当するかを表す量。

TEF(Total Equivalent Facter) 2,3,7,8-TCDD等価換算係数

ダイオキシン類は塩素数とその置換位置によって毒性が異なる為、異性体ごとに毒性が異なる。そこでもっとも毒性が強いとされる2,3,7,8-TCDDを1としたときの相対的な毒性で評価することになっており、TEFは換算するための係数。

 

 よく知っている方でもニュースや新聞に書いてある「1pgは1兆分の1グラム」ということぐらいでしょう。・・・確かにこう聞くと、「1グラムを一兆個に分けた内の一個分」とか「とにかく、めちゃんこ、とっても少ない量」らしいということはわかりますが、それでもピンときません。何しろボクらの生活は1兆という数字とはまるで無縁の生活ですから。

 

 では、1pgを一円玉にたとえて考えてみましょう。先にも書いたように「1pgは1兆分の1g」なわけですから、言い換えると基準となっている重さ「1g」は、1pgが一兆個集まってできていることになります。では、1pg=一円玉一枚とすると、基準となる重さ「1g」はお金では一兆円に相当することになります。

 

 どうでしょう?少しは実感がわいたでしょうか?どうもまだすっきりしませんよね。では今度は少し見方を変えて、一円玉の大きさを利用して考えてみましょう。

 日本国の硬貨としてはもっとも影の薄い一円玉です。募金箱にたまるか、線路でぺしゃんこになるか?彼らの人生は、はかなく切ないものですが、実は体重1g、半径1cm(直径2cm)、中心部の厚さ約1mm。どこをとっても一途・・・・、いや1づくしという律儀な性格だったします。

 

 この性格を利用して、一兆円分の一円玉を地べたに並べたらどのぐらいの広さになるのか計算してみましょう。

 

 一円玉をできる限り正方形になるよう規則的に並べてみます。最低でも四枚あれば一辺が2枚からなる正方形ができますよね。9枚あれば、一辺が3枚からなる正方形に仕上がるはずです。

 

 次に、定規を使ってその辺の長さを測ってみましょう。何センチになるでしょうか?おそらく4枚並べてできた正方形なら一辺が4cm、9枚並べてできた正方形なら一辺が6cmになっているはずです。1円玉一枚の大きさは2センチのはずですから・・・。

 

 

 つまり一円玉を並べたときにできる正方形の辺の長さは、辺として並んでいる一円玉の枚数に2cmをかけることで求められることがわかります。それでは、問題の「一兆枚の一円玉」を並べたら、それは一体どのくらいの大きさの正方形ができるのでしょう?計算が苦手という方は、ためしに一兆枚の一円玉を用意して実際にやってみるのが手っ取り早いかもしれません(笑)

 

では計算です・・・

 

縦横それぞれ10枚からなる正方形なら、10枚×2cmで一辺が20cm、合計100枚。

縦横がそれぞれ100枚なら100×2cmで200cm、つまり2mで、合計1万枚。

一辺1000枚なら一辺が1000×2cmで2000cm=20m、全部で100万枚。

 

 さー、どんな大邸宅にお住まいの方でもこの辺から苦しくなってくるでしょうが、どんどんいきましょう。

 

一辺1万枚なら10000×2cmで2万cm=200m、全部で1億枚。

一辺が10万枚なら100000×2cmで20万cm=2km、全部で100億枚。

一辺が100万枚なら1000000×2cmで200万cm=20km、合計1兆枚。

 

 やっとでました。「1pg=1円玉一枚」とした場合、基準になる重さ「1g」は縦横に100万枚並べてできる「一辺が20kmにも及ぶ巨大な正方形」として表されるわけです。これを面積に換算すると20km×20km=400平方km(=4万ha)!!

 

 実に東京ドーム*の約8510個分!霞ヶ浦なら約2.4個!!淡路島の約7割!!!ボクの部屋なら2千500万室分!!!ジャイアント馬場さんの足なら・・・・・・とにかくどえらい広さに相当します。

 

*東京ドームは建築面積が約47,000平方m(約0.47平方km)、霞ヶ浦は約168平方km、淡路島:約593平方km

 

 さらに具体的にいくと、所沢産のお茶で検出された3.8pgというのは・・・一円玉4個ほど。・・・想像してみてください。東京ドーム8510個分に落とした4枚ほどの一円玉を・・・、霞ヶ浦5個分の湖に浮かんだ8枚ほどの一円玉を・・・。淡路島のほぼ全域で一円玉を探す姿を・・・。

 

 では、一円玉を重ねていったら高さはどのくらいになると思いますか?これはみなさんの計算におまかせしましょう。試してみてください。一円玉は中心付近でおよそ1mmです(外周はもうちょっと厚い)。一兆枚だと一兆mm。さ〜、どこまでいけるでしょうか?参考までに・・・月までの距離はおよそ38万kmだったりします。

 さあ、ダイオキシン類が極微量で問題になっていることがおわかりいただけましたか?

 

補足