港湾地域周辺に自生する遺伝子組換えナタネの調査結果(2010)

>10/06/16更新

この調査について

  • 財務省貿易統計によると、2009年1月から12月に日本国内に輸入されたナタネの輸入量はおよそ207万トンと記録されています。輸入港別にみると、東京、横浜、千葉、鹿島、神戸、宇野、水島、大阪、名古屋、清水、四日市、博多の12港で陸揚げ実績が確認されています。これらのうち、東京、横浜、千葉、神戸、宇野、水島、名古屋、清水、四日市の9港について現地調査をおこないました。
  • 調査期間は2010年3月から6月、分析センタースタッフが直接現地に入り、陸揚げが予想される場所や運搬路を中心にセイヨウアブラナと判断できる個体を採取しました。採取個体の判定は、イムノクロマト法による簡易試験、PCR法による確認試験を組み合わせ、結果としました。
  • 今回の調査では、各地で86個体を採取、このうち、グリホサート耐性のナタネが34個体、グルホシネート耐性のナタネが24個体確認されています。東京港を除く全ての調査地域で遺伝子組換えナタネが検出されています。
  • 今年も簡易試験紙に陰性を示すにもかかわらず、PCR法では陽性を示す個体の検出が認められています。この結果は、組み換え遺伝子はもっているものの、何らかの理由で発現しない個体が存在している可能性を示唆するものです。私達が調査を開始して 6年を迎えますが、品種として固定された商品において、このような遺伝的変化がこれほど簡単に起きてくるとは予想していませんでした。
  • 最近の他グループの調査では、2品種が交雑したスタック個体も確認されており、自生現象は年々変化してきていることを感じています。こうした動向を踏まえれば、調査の継続が必須だといえます。しかし、それには労力と資金面での負担がさけられないことをこれまでの調査で痛感しています。この負担を軽くするには、とりいそぎ、遺伝子組換え作物の種子やその種子を利用して製造した製品の運搬経路情報の公開と集中管理などをとりおこなう組織や法整備にあたる新しい取り決めが必要だと感じています。

遺伝子組換えナタネについて

  • 遺伝子組換えナタネにはいくつかのタイプがあります。その多くは除草剤に耐性を持つナタネで、除草剤を散布しても枯れにくよう耐性遺伝子を組み込まれた3種類に分類されます。このほかにラウリル酸生産向上タイプなどがあります。
    • Monsanto社の販売する除草剤Roundup Ready(R)(成分名:Glyphosate/グリホサート)に耐性を持つRoundup Ready(R) Canolaタイプ
    • Bayer社の販売する除草剤バスタ(R)(成分名:Glufosinate/グルホシネート)耐性をもつLiberty Link(TM) Independenceタイプの数種
    • Bayer社の販売する除草剤Buctril(R)(成分名:Bromoxinil/ブロモキシニル)に耐性を持つWester-Oxy-235タイプ

  • 除草剤耐性ナタネには、種子形成のコントロールや収量を改良する目的で、花粉を作らせない(自家受粉で種ができない)「雄性不稔遺伝子」を組み込まれているタイプ、雄性不稔遺伝子を持つ固体をふたたび稔性回復させる「稔性回復遺伝子」を組み込まれているタイプ、「雄性不稔遺伝子」および「稔性回復遺伝子」を両方持つタイプがあります。
  • 現在、日本で食品衛生法に基づく食品としての安全性に関する審査が終了している品種は以下の10品種です。(2011年6月15日、現在:参考URL農林水産省遺伝子組換え植物の安全性確認状況)
    • RT73(GT73), グリホサート耐性および分解(導入遺伝子:CP4 EPSPS, GOX)
    • RT200(GT200), グリホサート耐性および分解(導入遺伝子:CP4 EPSPS, GOX)
    • Topas19/2, グルホシネート耐性 (導入遺伝子:pat)
    • T45, グルホシネート耐性 (導入遺伝子:pat)
    • MS8xRF3, グルホシネート耐性, 雄性不稔, 稔性回復 (導入遺伝子:改変bar, barnase, barstar)
    • MS8xRF2, グルホシネート耐性, 雄性不稔, 稔性回復 (導入遺伝子:改変bar, barnase, barstar)
    • MS8xRF1, グルホシネート耐性, 雄性不稔, 稔性回復 (導入遺伝子:改変bar, barnase, barstar)
    • MS8, グルホシネート耐性, 雄性不稔 (導入遺伝子:改変bar, barstar)
    • RF3, グルホシネート耐性, 稔性回復 (導入遺伝子:改変bar, barnase)
    • Wester-Oxy-235, ブロモキシニル耐性 (導入遺伝子:oxy)
  • 現在、日本で隔離圃場での試験などが承認されている品種は以下の2品種です。(2011年6月15日、現在:参考URL農林水産省遺伝子組換え植物の安全性確認状況)
    • 61061, グリホサート耐性および分解(導入遺伝子:gat4621) <<New
    • 73496, グリホサート耐性および分解(導入遺伝子:gat4621)<<New

遺伝子組換えナタネの調査および分析法について

  • 遺伝子組換えナタネ調査隊による調査は、2010年3月22日から6月4日までの期間、千葉県中央港(2010.04.13)、神奈川県横浜港(2010.06.04)、静岡県清水港(2010.03.22)、福岡県博多港(2010.04.28)、岡山県水島港(2010.04.30)、岡山県宇野港(2010.05.01)、兵庫県神戸港(2010.05.01)、愛知県名古屋港(2010.05.02)、三重県四日市港(2010.05.04)におこないました。道路脇などに生えているナタネや西洋カラシナなどBrassica属と判断できる植物をサンプリングしました。
  • 本年は、一般調査隊員による調査は実施しませんでした。
  • 採取地点の地図は以下の通りです。
  • 試験対象とした検体数は合計86検体になります。
  • 判定試験はイムノクロマト法とPCR法を使用しました。「イムノクロマト法」で陽性の結果となったものについて、PCR法による確認試験を行い、両結果が、陽性となったもののみを「遺伝子組換え」と判定しました。イムノクロマトキット(ラテラルフロー法)は「NEOGEN社製アグロスクリーン(R)CP4ストリップテスト大豆コーン用」によるグリホサート耐性発現タンパクCP4EPSPSとSDI製TraitコーンバルクテストLLによるグリホシネート耐性発現タンパクBar(Pat)についておこないました。
  • PCR法ではグリホサート耐性タンパク発現遺伝子CP4EPSPS、グルホシネート耐性タンパク発現遺伝子bar、およびそれぞれのSpecific遺伝子の増幅の有無を確認しました。
  • イムノクロマトキットによる検査方法は別ページ記載の方法に準拠しておこないました。
  • PCR法による検査方法はJAS遺伝子組換え食品検査マニュアルに準拠するよう設計しておこないました。

分析結果

  • 試験サンプル86検体のうち58検体にて組換え遺伝子が検出されました。
  • グリホサート耐性遺伝子(CP4EPSPS)を持つタイプが34検体、グルホシネート耐性遺伝子(bar/pat)を持つタイプが24検体でした。
    港湾名
    ID
    枝番
    サンプル名
    結果
    メモ
    千葉県中央港 1 1 ボウソー油脂正門前1 グリホサート耐性
    2 2 ボウソー油脂正門前2 グリホサート耐性
    3 3 日通航空前1 グリホサート耐性
    4 4 日通航空前2 グリホサート耐性
    5 5 トナミ運輸前 グルホシネート耐性
    6 6 千葉アスコン前 グルホシネート耐性
    7 7 太陽建設前 グルホシネート耐性
    8 8 セブンイレブン前 検出せず
    9 9 マルハン先中央分離帯 グリホサート耐性
    10 10 日本アクセス前1 グルホシネート耐性
    11 11 日本アクセス前2 グリホサート耐性
    12 12 びっくりドンキー前 検出せず
    静岡県清水港 13 1 万世町中交差点 検出せず
    14 2 羽衣橋 グリホサート耐性
    15 3 鈴与倉庫ベルトコンベア下 グルホシネート耐性
    16 4 静清浄化センター グリホサート耐性
    17 5 フェルケール博物館前 検出せず
    18 6 APL清水株式会社前 グリホサート耐性
    神奈川県横浜港 19 1 宇部三菱セメント グルホシネート耐性
    20 2 磯子活動ホーム交差点 グルホシネート耐性
    21 3 磯子ポンプ場1 グリホサート耐性
    22 4 磯子ポンプ場2 グリホサート耐性
    愛知県名古屋港 23 1 インター入口 検出せず
    24 2 上組倉庫西線路 検出せず
    25 3 火力発電所交番前 検出せず
    26 4 舟見交差点の橋1 検出せず
    27 5 舟見交差点の橋2 検出せず
    28 6 天白大橋 検出せず
    29 7 知多駅1 グリホサート耐性
    30 8 知多駅2 グリホサート耐性
    31 9 知多駅3 グリホサート耐性
    32 10 知多駅4 グリホサート耐性
    33 11 サンエイ糖化工業前1 グリホサート耐性
    34 12 知多埠頭サイロ下1 PCRでグルホシネート耐性を判定 要注意
    35 13 知多埠頭サイロ下2 グルホシネート耐性
    36 14 サンエイ糖化工業前2 グリホサート耐性
    37 15 牛用専用飼料工場前 グルホシネート耐性  
    38 16 国道入口 検出せず
    39 17 247分岐IC グルホシネート耐性
    三重県四日市港 40 1 西末広町1 検出せず
    41 2 西末広町2 グルホシネート耐性
    42 3 大井の川橋 グリホサート耐性
    43 4 クオドラント前 検出せず
    44 5 防潮扉前 検出せず
    45 6 コンベア下 グルホシネート耐性
    46 7 トランシ−倉庫 グリホサート耐性  
    47 8 サイロ下 検出せず
    48 9 軽量所脇 グルホシネート耐性
    49 10 太陽化学塩浜工場前 グリホサート耐性
    50 11 麦畑脇 グリホサート、グルホシネート両耐性反応 要注意
    51 12 タイヤガーデン前 グルホシネート耐性  
    52 13 名古屋木材 グルホシネート耐性
    53 14 磯山2交差点 検出せず
    54 15 スーパーイオン前 グリホサート耐性
    55 16 栗真町屋前 グルホシネート耐性
    56 17 あのつ橋 グルホシネート耐性
    57 18 オートバックス津店前 グリホサート耐性
    58 19 餃子の王将前 グリホサート耐性
    59 20 トラック置き場クロネコ先 検出せず
    60 21 堀口製鉄所 グリホサート耐性
    61 22 辻製油水路下流 検出せず
    兵庫県神戸港 62 1 深江浜手前 検出せず
    63 2 ポートアイランド入口 グリホサート耐性
    岡山県宇野港 64 1 アンローダー入り江1 グルホシネート耐性
    65 2 アンローダー入り江2 検出せず  
    66 3 アンローダー入り江3 グルホシネート耐性
    67 4 宇野港倉庫前 グリホサート耐性
    岡山県水島港 68 1 中谷石油前1 グリホサート耐性
    69 2 中谷石油前2 グリホサート耐性
    70 3 中谷石油前3 グリホサート耐性
    71 4 組合飼料交差点 PCRでグリホサート耐性を判定 要注意
    福岡県博多港 72 1 御笠川六丁目交差点1 グルホシネート耐性
    73 2 御笠川六丁目交差点2 グリホサート耐性
    74 3 ベスト電器前 PCRでグリホサート耐性を判定 要注意
    75 4 上組前1 検出せず
    76 5 上組前2 検出せず  
    77 6 日通前 グリホサート耐性
    78 7 スバル前 グルホシネート耐性  
    79 8 ポートオブ博多前 グリホサート耐性
    80 9 アンローダー交差点 グルホシネート耐性
    81 10 アンローダーのそば PCRでグリホサート耐性を判定 要注意
    82 11 コンベアー脇 検出せず
    83 12 上組前3 PCRでグリホサート耐性を判定 要注意
    84 13 上組前4 グリホサート耐性  
    85 14 上組前5 グリホサート耐性
    86 15 上組前6 グルホシネート耐性

表1 採取地点ごとの結果と遺伝子組換えのタイプ

図1 調査地点と採取、検出数

2010マップ
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採取地点ごとの遺伝子組換え検出数

地点名 採取数 グリホサート耐性(RR) グルホシネート耐性(LL) オキシニル耐性(OXY)
千葉県中央港
12
6
4
-
神奈川県横浜港
4
2
2
-
静岡県清水港
6
3
1
-
愛知県名古屋港
17
6
3
-
三重県四日市港
22
7
8
-
兵庫県神戸港
2
1
0
-
岡山県宇野港
4
1
2
-
岡山県水島港
4
3
0
-
福岡県博多港
15
5
4
-
東京都大井埠頭周辺
0
0
0
-
合計
86
34
24
-

表2 採取地点ごとの遺伝子組換え検出数

調査地点の特徴

千葉港中央港

 4月13日、生活クラブ生協のみなさんと共同調査をおこないました。調査範囲は、搾油工場さんから港湾部までに続く運搬路で、私達は搾油工場周辺と港湾部を歩きました。
 工場周辺では、大きな個体は見かけませんでしたが、双葉を開いたばかりの個体が多数見つかりました。個体が小さいことから、こぼれ落ち対策や抜き取り作業などの効果が現れているものの、運搬により、頻繁に種子のこぼれ落ち、発芽が繰り返しが起きていることを示す考えられます。
 私達が持ち帰った個体数は12個体でした。簡易試験ではこのうち、6個体がグリホサート耐性のナタネで、4個体がグルホシネート耐性のナタネという結果になっています。


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神奈川県横浜港

 6月4日、磯子区周辺でこれまでに検出例のある搾油工場周辺から、国道357号線、国道16号線沿いを中心に行っています。横浜港はナタネの輸入トン数、第2位の港ですが、採取される個体数が少ない傾向があります。なにか管理などに特徴があるのかも知れません。今年も少ないながらも4つの組み換え個体が検出されています。


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静岡県清水港

 3月22日、生活クラブ生協のみなさんと、清水港北側にある搾油工場周辺、南側にある飼料工場周辺での調査をおこないました。私達のグループでは、港湾の前を通る国道沿いを中心に6個体を採取し、このうち4個体が遺伝子組換えナタネであることを確認しました。例年採取される個体数は少ない地域ですが、生協さんの結果と総合すると、今年は採取数、検出数も多くなっています。


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愛知県名古屋港

 5月2日、潮見埠頭と北浜町の2地点で調査をおこないました。例年、潮見埠頭周辺では遺伝子組換えナタネが検出されますが、今年は採取した6個体が全て陰性となりました。確認できる個体数も減っているようです。一方、北浜町側では、遺伝子組換えナタネの検出が増えている傾向があります。採取された11個体のうち、9個体が遺伝子組換えナタネとなっています。北浜町の穀物運搬トラックを追跡したところ、汐見埠頭の飼料会社と北浜町のサイロ間、およそ15kmをピストン運送しているルートが存在することを確認しました。この輸送路のほとんどは自動車専用道のため、駐停車ができず、採取などの調査ができていませんが、セイヨウアブラナが多数自生していることを目視で確認しています。


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三重県四日市港

 5月4日、四日市港から運搬路に当たる国道23号線および搾油会社さんまでを調査しました。四日市港は例年かなりの検出が認められる地域です。調査開始早々、道には点々と黄色い花が見かけられました。今年は22個体を採取し、このうち15個体が遺伝子組換えナタネであることを確認しています。今回は、麦畑のなかに自生している複数の個体を確認しました(写真1)。畑に立ち入ることはできないため、それらの個体が遺伝子組換えかどうかは確認できませんでしたが、条件的にその可能性は高いといえます。仮にこの個体の種子が、麦に混ざって収穫され、選別機を通過し、麦と異物に別けられた際、異物側に入ったナタネ種子を農家がどう処理するのかによっては、思いがけない場所に遺伝子組換えナタネの群落が発生してしまう可能性がありそうに思います。


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兵庫県神戸港

 5月1日、深江浜および住吉浜での調査をおこないました。今年は採取できた個体数が少なく2個体となりました。このうち住吉浜で採取された1個体が遺伝子組換えナタネであることが確認されました。検出地点は、大手運送会社さんの近くで、そのトラックからのこぼれ落ちと予想しています。また、今回、見かけた穀物運搬トラックを追跡したところ、住吉浜から大阪まで、高速道路を利用する穀物運搬ルートがあることを確認しました。しかし、このルート沿いでの自生は確認できなかったため、荷種はナタネではないと予想しています。


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岡山県水島港

 4月30日に水島港を、5月1日に宇野港を調査しました。水島港は、ナタネの輸入トン数では全国6位を誇る港ですが、これまでほとんどナタネを見かけることがありませんでした。今回は珍しく4個体のナタネを採取することができました。このうちの3個体が簡易試験で遺伝子組換えナタネという結果になっています。岡山ではこれまで組み換え個体を検出したことがなかったため、これが初検出となりました。


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岡山県宇野港

 宇野港の調査では、例年同様、搾油会社周辺で4個体を採取しました。このうち3個体が遺伝子組換えナタネであることを確認しています。工場までは小型の運搬船でナタネを海上輸送しており、複数の輸送船が停泊する岸壁付近で検出がありました。これらの輸送船にどこで積み替え処理をしているのかが気になります。


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福岡県博多港

 4月28日、西日本新聞の記者さん同行で調査をおこないました。博多港の状況は例年と変わらず、港湾内のあちこちにセイヨウアブラナが自生していました。確認できる個体の大きさは、双葉に近いものから50cmを越える大型もの、着鞘しているものと、さまざまあることから、定期的な抜き取り作業などの対策はとられていないことがうかがえました。陸揚げを行うアンローダーから運送会社さんまでを結ぶ道路沿いの自生状況は、特に目を見張るものがあります。また穀物類の運搬時、管理が十分ではないのか、道路脇で大豆(後に試験でGMと確認)を採取する場面もありました。
 また、採取数は少ないですが、今年も箱崎埠頭から国道3号線沿いに15km程南下した地点で遺伝子組換えナタネを検出しています。毎年、この地点で確認した個体は全て抜き取っているため、抜き残した個体の子や孫に当たる世代が毎年自生しているのではなく、新にこぼれ落ちた種子が発芽している可能性が高いと考えられます。三重県四日市港のように長距離輸送が行われる地域では、拡散や交雑の問題が顕著に起きていることから、今後、この地点より先の自生調査を行い、そうした問題が発生しうるのかを探る必要がありそうです。
 今回は、合計で15個体を採取し、このうち9個体が遺伝子組換えナタネであることを確認しました。


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東京都大井埠頭周辺

 ここ数年、少量ではあるものの東京税関に陸揚げの記録が残っています。どこのアンローダーを利用して陸揚げをしているかの情報が無いため、穀物類を扱っている大井埠頭から調査を始めました。結局、アブラナ科植物に出会うことはなく、採取数ゼロとなりました。また東京港は、交通量が多く、車による調査は工夫が必要であることがわかりました。今後、より情報収集と調査方法を検討していきたいと考えています。


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