はじめに
 2000年初め頃から始まる、中国産冷凍野菜などの残留農薬問題を背景に、それら食品とおなじ生産国であり、農作物と同等の環境や栽培から製造される漢方生薬について、調査をおこなったものの第4回分です。
  -  2003年5月13日、漢方薬原材料5種を都内の漢方薬販売店より購入し、残留農薬一斉分析(123種)の分析をおこないました。
- 分析をおこなった生薬原料・漢方薬原料は乾燥された固形物で、粉砕後5gを分析試料としました。
 
- 漢方薬の原材料の多くは輸入に頼っており、またこういった生薬原料・漢方薬原料は現行の食品衛生法では、輸入時検査の対象には加えられていないため、水際での検査はほとんどおこなわれておりません。また基準値も設定されていません。基本的に残留などはふさわしくないという扱いとなっているようです。
 
- 分析をおこなった生薬原料・漢方薬原料は乾燥された固形物で、粉砕後5gを分析試料としました。
- 以下のデータに示されている生薬原料・漢方薬原料は一斉分析法のような簡易の抽出行程では、精製が難しく、有機塩素系の農薬の検査ができなかったものがあります。(こうした場合は100種類程度の分析となります)
 
- 漢方薬・生薬の残留農薬は「生薬の純度試験に関する検討, 医薬品研究IYAKUHIN KENKYU, vol.27, No.7, (1996)」、「原料生薬に含まれる有害物質の実態調査(第4報),東京衛研年報, Ann. Rep.Tokyo Metr. Res. Lab. P.H., 52, 48-52, 2001 ,中里ほか」に取り上げられる報告にもあるように、農薬の検出事例がいくつかあることが知られています。
 
結果
 以下に示すように、検査検体数5件の4件より、残留農薬が検出されました。
  - 前回の調査同様「パラチオン」および「パラチオンメチル」が検出されたサンプルがありました。
- 陳皮(チンピ)はミカン(?)の皮を乾燥したもので、ミカン栽培時には比較的多種の薬剤が使用される傾向があることから、そうした際に使用されたものが検出されたと考えられます。
- 生薬・漢方薬原料は乾燥された試料であるため、生産時使用された農薬が濃縮状態で残留するため、比較的高い数値で検出されていると考えられます。
- 生薬・漢方薬原料は煎じたり、粉末として少量づつ混合して処方される場合がほとんどと考えられるため、今回検出された濃度の農薬を含むものを服用しも、すぐに害がでることはないと考えられますが、服用に当たっては十分な注意があっても良いと思います。製薬会社の製品管理部などに問い合わせなどをして確認をおすすめいたします。
- 分析終了日2003年5月22日。
  
    
      
        | No. | 品   名 | 製造社名 | 原産国 | 分析結果(ppm) | 
      
        | 1 | キジツM(Lot.402303) | 株)ウチダ和漢薬 | 記載なし | 検出せず | 
      
        | 2 | サンシュユM (Lot.352715) | (株)ウチダ和漢薬 | 中国 | パラチオン | 0.208 
 | 
      
        | 3 | ソヨウM (Lot.352614) | (株)ウチダ和漢薬 | 記載なし | パラチオンメチル パラチオン
 | 0.124 0.025
 | 
      
        | 4 | タイソウM (Lot.SU353105) | (株)ウチダ和漢薬 | 中国 (製造)
 | シペルメトリン フェンバレレート | 0.068 0.116 | 
      
        | 5 | チンピM (Lot.TG402227) | (株)ウチダ和漢薬 | 記載なし | パラチオンメチル マラチオン メチダチオン  | 1.138 0.054 0.148
 | 
    
   
            
 
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